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『血界戦線』に見るダイバーシティと異世界な日常

もしあなたが狭い世界に適応できずに苦しんでいるとしたら、この『血界戦線』を読むといいだろう。

 

血界戦線 1 ―魔封街結社― (ジャンプコミックス)
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著者:内藤 泰弘
出版社:集英社
販売日:2010-01-04

 

異世界日常系ストーリー

『カウボーイビバップ』が宇宙日常系だとするならば、この『血界戦線』は異世界日常系物語だと言えるだろう。

大枠はほとんど同じだ。便利屋たちが無法地帯で仲間と一緒に事件に巻き込まれてそれを解決していく物語である。

 

物語の構成も、ほとんど『カウボーイビバップ』と同じである。

 

コメディを基調とし、その中に人情ドラマを混ぜていく。

その積み重ねと設定の巧妙さが世界観をうまく引き出し、面白さに繋がっていく。

それぞれのキャラクターが立っているのも流石である。

 

物語が示すダイバーシティ

この物語から見えることは、「ダイバーシティ」である。『カウボーイビバップ』もこの『血界戦線』も、同様の雰囲気を持っているのだが、この雑多な社会の雰囲気はまるで香港を始めとする、アジアのダイバーシティそのものと似ている。

 

『血界戦線』はニューヨークが舞台だという設定らしいので、きっとそこに似ているのだろう。

こうした物語が出てきて、さらにそこに住む人々の日常が描かれるということは、これまで相当閉鎖的だった日本においても僅かに変化の兆しが見られるようになってきたということなのだろうか。

 

少なくとも、異世界人に比べたら「外人だからどうのこうの」なんて全然大したことないぞ、という価値観が生まれてくるに違いない。

 

日本には多様性が求められている

生物多様性のウソ(小学館101新書)
著者:武田邦彦
出版社:小学館
販売日:2013-08-02

 

自然の世界と同様に、文化と文化が接する場所は発展するという法則がある。

 

昔は村と村で隣の村との間で諍いが起きていた歴史があるが、段々とその生活圏が拡大するに連れ、村同士の関係などどうでも良くなり、近年においては国と国同士、さらにはその国も同地域では連合して取り組もうという経済圏が生まれてきている。

 

多様性が広げる世界の交流

ちょうど世間ではTPPの話題がホットのようだが、このような国同士の利害関係というのも、宇宙時代になればきっとどうでも良くなるはずだ。

 

『カウボーイビバップ』で惑星同士の関係性が描かれているように、『サイコパス』でアバター同士での交流が描かれているように、『血界戦線』のような異世界が生まれてきたら、人同士の争いなんてきっとどうでも良くなってくるはずだろう。

 

……少なくとも、今よりかは。

特にサブカルの界隈において、そうした異文化を許容する風潮が生まれてきている。

 

まとめ

というわけで、差別や同調圧力、そんなつまらない関係にもしあなたが悩んでいるのであれば、この物語を見ることをオススメしよう。

 

アニメしか観ていない人は、省略されている物語もあるので、漫画の方もぜひ読んでみることをオススメする。

 

……そして最後に、アニメ版はEDアニメーションが最強だということを付け加えておこう。

過去最高クオリティの出来だと思っている。

 

(文:住田広樹)