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匂いは「嗅ぐ」ではなく「聞く」もの。優しい香りに包まれる『京の都の香の路』

「香道」という日本独自の文化をご存知だろうか?

 

香木の香りを探求、禅の精神が生きている道。お香は聞くものであり、嗅ぐものではない。「聞香」とはお香の声を聞くのだという。

 

私は、志野流香道21世家元継承者の蜂谷 一枝軒 宗苾(はちや いっしけん そうひつ)さんのお話を聞きにいった際に「聞香」のプチ体験をした。

 

荘厳な世界を作り出す香炉。漂う香りをゆっくり吸い込んで、その香りを聞いた。
まるで心身が浄化されていくようだった。

 

そんな奥深い「お香」をテーマにしたマンガがある。

 

京の都の香の路 一 (BRIDGE COMICS)
著者:霜月 星良
出版社:KADOKAWA
販売日:2018-11-08

 

舞台は京都。

医師であるふたりの兄を持つ瀬戸大輝は、二度目の医大受験に失敗し、絶望感でいっぱいだった。そこに偶然通りかかった香老舗の若主人・栄薫は、大輝が自殺でもするのではないかと手を差し伸べ、自身が営む薫風道に招く。そこで香道を知り、心身の癒やしを体感。

 

香りの持つ力に魅せられた大輝は、自分のやりたいことは「心の医療」だと悟り、香の道を学ぶことを決意。薫に弟子入りし、新たな人生を切り拓いていく。

 

 

■お香が心を通わせる

 

登場するキャラクターたちが、お香を通して寄り添って支えたり、静かに見守ったり、読んでいて優しい気持ちになる作品。そしてマンガなのに、いい香りが聞こえる。

 

香の道と人生を重ね、薫は受験に失敗した大輝にこうエールを送る。

 

伽羅。

お香の中で最も高級とされるモノ。水に沈む香りのする木。沈水香木、略して沈香。

 

この木は腐って水中の泥にまみれて よき香りを放つこととなる…

人生もそうだと思いませんか? 

 

諦めないで挑戦し続ければいつかゴールにたどりつける

 

大輝君はお兄さん達より
遠回りしてるかもしれませんが
「本当になりたいもの」を見つける

 

今はそんな泥の中(じかん)なのかもしれない

 

 

■知識が学べ、香りの力に魅せられる

 

お香やアロマオイルを嗜むことで気分が変わることは誰でも知ってると思う。快眠、癒やし、高揚、活力、フェロモン、あるいはフレグランスのように身に纏い、自分の魅力を誇示するアイテムとする等。

 

香りは本当に奥深い。そしてこの作品『京の都の香の路』は、香木の産地分類と味覚表現、お香の種類による効果、お香の楽しみ方、聞香のルール等、香りの知識も学べる。

 

ぜひお香を焚きながらこの作品を堪能してみてほしいと思う。