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『Dr.STONE』で振り返る人類史 マンガで知る身近な発明品
元号改正で平成が終わるということで、各メディアでは「平成」を振り返る企画が相次いでいます。
 
過去の振り返りは、単なる郷愁ではなく未来を考えるためのものです。
 
その中でもう少し時間軸を伸ばして、人類史、とくに科学の発展を考えたい人には、漫画『Dr.STONE』(原作:稲垣理一郎、作画:Boichi)がおススメ。
今は身近となった発明品で、私たちの生活が助けられていることを実感できます。
 
 
 
※以下には単行本未収録のエピソードに触れています。
ネタばれを避けたい方はご注意ください。
 
 
 
『Dr.STONE』は正体不明の光線で、地球上のすべての人類が石化してしまったところから物語は始まります。
 
全員が石化したなかで、偶然と意思の力で石化がとけた主人公、石神千空。石化という新たな科学の謎を解き明かし、友人(と人類も?)を救うための冒険を始めます。
 
 
Dr.STONE 1 (ジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:稲垣理一郎・Boichi
出版社:集英社
販売日:2017-07-04

 

「知は力なり」を地で行く千空

 
原始時代に戻った地球上に科学の知識を持ち込む千空。もちろん現代のようなコンピューターも実験器具も望めない世界。
覚えている限りの科学知識を活用し、その場にあるものから力を生み出そうとします。
「知恵は力である」を体現したようなエピソードです。
 
しかも千空は、すべての知識を暗記しているというよりも物質の組み合わせと、考え方を覚えている。だからこそ自然の素材しかない世界に掘り出されても、科学を再現できるのです。
 

リアリティある転生もの

 
千空は一度文明が滅んだ世界に、科学知識を凝縮して蘇ります。その科学の知識は圧倒的で、一種の転生ものともいえます。
 
ただ一般的な転生ものと一線を画しているのは、知識を持った千空らが決して絶対的な力を持つのではなく、人類のできることとして限界はあること。
千空にも弱点はあり、原始時代に戻った地球の上では、周囲の人との連携が不可欠であることが描かれています。
 
さらに千空と最初に対立し、命がけの戦いをした「敵」は冷凍睡眠せざるをなかったのです。
 
千空らが科学の力で道を切り開きつつも、きちんとできないことや限界があることを感じさせるところは、教育漫画としてもレベルが高いと思いました。
 
 
よりよい世界を生み出すため「認められる人だけを選ぶのか」「全員を受け入れるのか」という哲学的な問いも投げかけられ、非常に興味深い設定です。
 
その中で今回は、作品を読んで実感できる意外に身近な発明品について触れたいと思います。
 
 

■人間の不具合の補助器具、眼鏡

それは眼鏡

あまりにもファッション化が進んだため、今の日本ではすごく気軽に眼鏡が手に入るようになりました。
 
でも本来は、近視を含め目の能力が劣っている人を補助するためのツールだった――作中で千空らが手作りのガラスを磨きあげてレンズを生み出し、眼鏡もどきを作り上げる過程は、眼鏡が本来持っていた役目を思い出させます。
 
 
私自身も目が悪いので眼鏡が手放せません。世界で眼鏡が発明され、それが日本にももたらされたことに心底ほっとします。
 
 

■この先なにを「発明」するのか?

 

水力発電、自動車に戦車、レコードに通信手段と、すでに千空チームは数々の技術をよみがえらせています。
そのときどき必要なものを開発するため、科学史からすると洋の東西を問わず、開発の順番もランダムです。
 
武器になりうる火薬や日本刀もよみがえらせ、気になるのはこの先。
すでに気球を飛ばしての地形調査も行っており、このまま自然環境や人類を滅ぼす可能性のある科学技術―例えば原子力発電―も復活させるのか。
 
そして本来技術を管理するはずである社会制度・組織はどこまで復活させるのか。
まだ宗教組織や軍隊は出てきていません。法制度もまだありません。
 
科学技術の扱い方で格差が生まれ、持つものと持たざるものの差が出てきたとき、彼らはどうするのか。
 
 
物語をどう終わらせるのかと合わせて、気になる作品です。
 
 
 
Dr.STONE 8 (ジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:Boichi
出版社:集英社
販売日:2018-12-04