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改元という歴史の大転換を迎えるこのタイミングに読みたい『昭和天皇物語』

平成の終わりが近づき、メディアがこぞって時代を振り返る特集をしていたりするため、否応なしに歴史を感じたり、感慨深く年末年始を迎える方々も多いのではないだろうか。

 

こうしたタイミングで第3巻が刊行された『昭和天皇物語』。唯一無二の生涯を送った昭和天皇・裕仁のヒューマンストーリーだ。

 

「歴史上の人物」になりつつある昭和天皇の知られざる人生が描かれているこの作品は、歴史を学ぶというより、純粋に人間ドラマを楽しむ作品であるが、日本という国、そして今を生きる自分自身について考える機会を与えてくれる。

 

昭和天皇物語 (3) (ビッグコミックス)
著者:能條 純一
出版社:小学館
販売日:2018-11-30

 

英才教育を施されながら過ごした学友たちとのかけがえのない日々、母のように慕った教育係・足立タカとの出会いと別れ、お妃候補との出会いと婚約破棄を迫る老政治家との対峙、欧州外遊、沖縄訪問…。

 

激動の時代と言われた昭和において「大元帥」、「象徴」、そして「人間」として生き抜いてこられた裕仁天皇の少年~皇太子時代を描く(第1巻~3巻)。

 

■こんなにも優しくて強く、聡明に人は成長できるのだろうか

 

想像を絶する人生、強靭な心を持つ昭和天皇のお話を超ダイナミックに描き、緊張感たっぷりにグイグイ攻めてくる作品だろうと本を開き、読みすすめていたら、想定以上にほっこり~。

 

多感な少年時代、「学友と名字で呼びあえない」、「(みんなが気を使って)腕相撲ができない」、「自分が感情を出せば誰かが傷をつく」という場面に複雑な思いをしながらも置かれた身を自覚しはじめ、「人に命を捧げられても恥じないものになろう」「朕は国家なり」と己を奮い立たせる様には「素晴らしい人間に育ってる!」と感動。

 

また、附属幼稚園で一緒だった良子女王とお妃候補として引き合わされ、ふたりで過ごす様子は「青春」そのものだし、婚約を邪魔する元老にご自身の口から良子女王をお相手に決めたと堂々伝えるシーンはキュンキュンする。

 

お家柄、教育だけでなく持って生まれた性格もあるのだろうが、どうしたらこんなに立派な成長ができるのだろう。比べるものではないが、自分自身に目を向けてみると、なんという視野の狭さ、悩みなんてちっぽけすぎて閉口する。

 

■この機会に近現代史を意識してみる

 

平成の時代、12月23日は天皇誕生日だったが、この日は東条英機らA級戦犯処刑の日でもある。天皇誕生日は戦争を考える日でもあったと言えるかもしれない。しかし実際はクリスマスとセットの祝日ムードを満喫している人がほとんどではないだろうか。

 

天皇陛下の譲位、東京オリンピック開催がそこまで迫ってきた今、近現代史を意識してみるのもいいなと思う。

 

この『昭和天皇物語』や関連本を読んで昭和天皇や今上天皇の背負うものの大きさを感じながら歴史を振り返り、これから自分を待つ未来に期待を寄せて。