TOP > マンガ新聞レビュー部 > WEB界隈を騒がせた衝撃作『オナマス』や、広告会社での三角関係が描かれた『彼女のいる彼氏』、天才になれなかったすべての人へ贈りたい『原作版 左ききのエレン』などなど、平成最後の冬に読んでおきたいおすすめ特集!

WEB界隈を騒がせた衝撃作『オナマス』や、広告会社での三角関係が描かれた『彼女のいる彼氏』、天才になれなかったすべての人へ贈りたい『原作版 左ききのエレン』などなど、平成最後の冬に読んでおきたいおすすめ特集!

もうすぐ平成最後の年末ですが、みなさま大掃除の準備は進んでいますか?

私は毎回とある「問題」にぶつかります。大掃除中、整理している漫画を読みふけってしまう問題です!

机の横やリビングに放置していた漫画を片付けようとして、ついつい本棚の前に座り込んで読みふける至福の時間、たまりません。

そして年が明け、意外と暇な時が多い「三が日」がやってきます。正月特番を横目に見ながら、あっちでごろごろ、こっちでごろごろ……そう、年末年始は漫画を読むのにぴったりな時期だと言えるでしょう!(笑)

そんなときにおすすめしたいのが、この3作品です。

おすすめ漫画①『オナニーマスター黒沢』

主人公・黒沢の日課は、人気のない学校の女子トイレで自慰行為にふけること。

クラスメートの女子たちをオカズに、脳内で彼女たちを蹂躙し、白濁で汚しています。

これだけであれば、まだ「いつ見つかるかわからないドキドキがたまらない!」系のギャグ漫画路線もあり得ますが、黒沢を救いようがない奴だと印象付ける理由がこれです。

(うまいことを言ったつもりか…?笑) ©伊瀬カツラ・YOKO/ナンバーナイン
基本的に、黒沢は他人を見下しています。

オタクを「クラスからはじきものにされている日陰者」、眼鏡で地味な女の子を「自己主張が苦手な”目立たない生徒”」だと称したり、とにかく陰険な性格です。

そんな彼が、人知れず己の内に抱えた欲望を発散しようと、あの手この手を企てる姿はどこかクスッと笑えてしまいます。

たとえるなら「な、なに言ってんだこいつ…(軽く引き気味)」です。

しかしこの漫画を、ただの変態漫画かと思っていたら、最終回に近づくにつれて深い展開が訪れます。

スクールカーストやいじめ問題に触れつつ、人間の正直さや優しさも描かれているのです。

黒沢が日頃どんな妄想をしていたのか?そんな彼がどう変わっていくのか、気になる人はぜひ読んでみてください。

全4巻で完結するので読みやすいですよ!

オナニーマスター黒沢(1)
著者:伊瀬カツラ 出版社:ナンバーナイン 販売日:2018-07-13

おすすめ漫画②『彼女のいる彼氏』

広告会社を舞台に描かれる、三角関係。 じつはあの超有名企業がモチーフになっているらしい本作ですが、私が惹かれたこの漫画の魅力は、咲を取り巻く男性陣の格好良さです!

咲は努力家のデザイナーで、自分に自信はあるけど持ち前の不器用さで「女」の部分を出せない、友達いわく「出し惜しみ系」女子です。

そんな咲に対して、彼女がいるくせに迫ってくる二人の男がいます。

ひとりめは年下凄腕デザイナーの佐倉。 彼は2年目でクリエイティブディレクターになるほど、仕事面ではできる男ですが、基本的に自称コミュ障で女を泣かせる男です。

はじめは佐倉にライバル意識を抱いていた咲も、彼のものつくりに対する真剣な思いや、チームを任せられることへの戸惑いに触れて心を開いていきます。

すると、こうなります。

©矢島光/ナンバーナイン
そしてこのあと「俺ちゃんと本気だからだいじょうぶ。」というセリフが続きますが、 でもみなさん、忘れてはいけません。佐倉にはこの時点で彼女がいます。

ふたりめはチャラいけど優しくて、頼りがいがある同期の徳永。

咲はあるときデザイナーとして真剣に取り組んだ仕事で、エンジニアとの間に問題が起こった時、こらえきれず涙があふれてしまいます。

そんなとき、自分も忙しいにも関わらず傍で励ましてくれる徳永。 「ちゃんと俺は見てるからがんばれ!!」と言いつつ、きちんと指摘するところは正直に言ってくれます。

徳永を好きになりかけていた矢先、先ほど紹介したように佐倉から迫られ、一線を越えてしまった咲。

二人の間で心が揺れ動いていたところに、佐倉に実はまだ彼女がいたことを知りショックを受けた彼女に、徳永はこういうのです。

©矢島光/ナンバーナイン
でもみなさんには知ってほしい。徳永にもこの時点で彼女がいるんですよ!!

なんだんだこいつらは!?と思わず突っ込みたくなってしまいますが、佐倉・徳永ともに好きにならざるを得ない魅力がこの漫画にはあふれています。

そしてふたりはただのクズではなく、それぞれの理由があって彼女がいる状態で咲との関係を深めていくのです。

リアリティを感じる広告会社の仕事風景も、読んでいてどこか自身の生活につながる部分があります。

特にクリエイターの人には、刺さる部分も多いのではないでしょうか。画面上の「1px」のズレが気になる。そんなデザイナーとしてのプライドにも注目の一作です。

こちらも全4巻で完結するので読みやすいですよ!

彼女のいる彼氏(完全版) 矢島光・著作集 1
著者:矢島光 出版社:ナンバーナイン 販売日:2018-07-27

おすすめ漫画③『原作版 左ききのエレン』

広告会社のクリエイターと言えば、こちらの漫画も外せません。

現在「少年ジャンプ+」でリメイク版が連載されている『左ききのエレン』です。

天才になれなかったすべての人に向けて、語りかけるように綴られたこの物語は、大手広告代理店に勤める駆け出しのデザイナー・朝倉光一が、高校時代に出会った天才・エレンのことを思い出す場面から始まります。

学生時代「何者かになりたい」という想いを、誰もが漠然と抱えていたことがあるのではないでしょうか。

その多くは就職活動などを通して、自らを客観視するときに悩み、苦しみ、ひとつめの自分なりの答えを見つけるのかもしれません。

そして意外とそんな想いを口に出す人はいないのです。羞恥心や、何者にもなれなかった時のことを考えての保身など、理由は人それぞれですが、光一は違います。

高校の教室で大人ぶってデザインの本を読んで、広告代理店のデザイナーを夢見て公言するような人種です。

しかし肝心の腕前は、エレンいわく「ただの下手」程度。

絶望的にセンスがないので諦めろ、と言っても懲りない光一に、エレンは「マジで…ムカつくんだよ…お遊びでクソみたいなラクガキ描いて悦に浸ってんじゃねーよ!!」と声を荒げて殴りかかります。

エレンがここまで光一に絡む理由は、彼女の父親が売れない絵描きで自殺したという背景があるからです。

「絵の才能」があり「絵を描くことが大好き」だった彼女は、夢だけで人は生きていけないことを一番身近で感じたことで、「夢」に対して並々ならぬ感情を抱きます。

そんなエレンに現実を突きつけられた光一ですが、彼は「やってみなきゃわかんねぇだろ」と泣きながら、誰もが心の中で思っていてもなかなか口には出せない気持ちを吐露します。

(ぐっ…む、胸が締め付けられる…ッ!)©かっぴー/ナンバーナイン

彼が一体「何者」になるのか、一巻を読み終わったころには続きが気になって仕方がなくなる作品です。

時代が変わりふたりが大人になった章では、光一とエレンのほかにもモデルやファッションデザイナー、広告代理店内の営業部やコピーライターなど、クリエイティブに関わる多くの職種や人に焦点をあてた物語が描かれます。

©かっぴー/ナンバーナイン
まるで映画を見ているかのように、引き込まれるストーリー展開が魅力の本作。

現在12巻まで発売中なので、ぜひ読んでみてください。夜中に読むと泣けてきますよ!

原作版 左ききのエレン(1): 横浜のバスキア
著者:かっぴー 出版社:ナンバーナイン 販売日:2018-08-31
以上、私がおすすめする3作品のピックアップ紹介でした!

ぜひ読んでみてください!

文:駒村(@koma_ja