TOP > マンガ新聞レビュー部 > 「クトゥルフ神話」の入門にピッタリ――マンガ『るる...

 マンガやアニメ、映画や小説、音楽といったコンテンツ分野が好きな人なら、「クトゥルフ神話」という言葉を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。テーブルトークRPG(TRPG)にもなっており、ニコニコ動画では、ゲームの状況を動画で配信する人もいます。あまりにも深い沼でこれから入る人はとっかかりを見つけにくいもの。私もその一人でしたが、マンガ『るるいえはいすくーる』は、テンポよく物語が進み、知らぬ間にクトゥルフ神話の世界と、TRPGの世界が垣間見えました。そしてこの世界は踏み込んだら抜けられないーーこれだけは痛感しました。

 

 小説や音楽のインスピレーションの源となっているだけでなく、TRPGとなっているクトゥルフ神話。

 

 世界各国の神話が好きで読んできた私としては「いったいどこの国の神話なのか」「死海文書みたいなものか」ともんもんと考えていました。しかも、書店や図書館の神話コーナーにいってもない。あきらめていたころ、縁があってご紹介いただいたのが、マンガ『るるいえはいすくーる』でした。

 

 『るるいえはいすくーる』は『るるいえあんてぃーく』に続く、クトゥルフ神話をもとにしたTRPGのプレイを記録した、リプレイ小説のコミカライズです。


 リプレイ小説というのはTRPGなどのゲームの展開をテキスト化したもの。そのため物語のキャラクターは、ゲームのプレイヤーということになります。『はいすくーる』では、主人公らが通う学園を舞台に、キャラクターがクトゥルフ神話の「深きもの」に襲われたり、不思議なテクノロジーの争奪に巻き込まれたりといった物語が展開されます。

※もともとのクトゥルフ神話を生み出した小説はホラー要素が強いため、神話の世界の生物に襲われるシーンはややホラー。苦手な人は注意が必要です。

 

 日常に潜んでいそうなホラーに緊張し、主人公とともに深きものの登場にはらはら。神話の世界の進んだ技術に関心して、物語の世界にどっぷりつかる。そして巻末には、「深きもの」「ミ=ゴの脳収容器」「ナトコ写本」と、物語に登場した神話に関する生物や技術の解説付き。マンガで神話の世界に触れたあとに読むと「なるほど、こういうものが存在する世界なのか」とすごく頭に入ってきました。
 

 イラストや解説で少し神話の世界が具体的になったところでざっくり調べてみたところ、そもそもクトゥルフ神話というのは、小説をもとにした、架空の神話体系とのこと。・・・・ここにきてやっとこの神話の世界が小説家らクリエイティブによって生み出されたものだと知りました。どうりで書店や図書館の神話に関する本のコーナーをみてもないはずでした。個人的にはコミックスの解説部分で紹介されていた、深きものの手に一度は落ちたといわれる港町、インスマスにいってみたいです。

  

 そして同時に実感したのは、未知の分野への入門書としてのマンガの役割です。クトゥルフ神話のように幅広い未知の世界を説明する手段として、解説書でも小説でも映画でも何でもいいはず。

 

 そのなかでマンガという表現方法は、巧みな物語展開と構成、絵と文字を使ってうまく未知の世界に導いてくれます。マンガは娯楽だけでなく、未知の世界への水先案内人でもあるということがよくわかります。もちろん、読者が入り込める話の進め方と、読みやすいページやコマ割り、絵柄があってのことなのですが。

 今回のコミカライズも限られたページ数の物語のなかで、神話の世界の断片を見せ、読者の興味を呼び起こします。「クトゥルフ神話って何?」と思っている人は、触れてみて損はない。しかし、TRPGや原点となった調節が控えていることを考えると、はまりすぎると戻ってこれない可能性は高そうです。


 

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