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※この記事は2017年08月01日にマンガHONZ(運営:株式会社マンガ新聞)にて掲載した記事の転載になります。
レビュアー:bookish

同級生 (EDGE COMIX)
作者:中村 明日美子
出版社:茜新社
発売日:2008-02-15
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ボーイズラブ(BL)ってどんな作品なのですか」。最近、BLマンガの作家さんが、一般向けで活躍される流れが広がり、「マンガや小説が好き」というと「BLは読みますか」「何がお薦めですか」と聞かれます。

 
■ひたすらに、唯一無二の相手がみつかる尊さに浸る 
耽美小説やJUNEの全盛期を経て、同人誌文化から、やおいというジャンルが生まれ、そしていまはBLに。世界に羽ばたいたBL(海外ではBL中心に扱うイベント、YoiConというものがあります)は、ジャンルも作品数も広がり、読者もそれぞれ。一般のマンガ作品同様、読者によってBLを読む理由、動機はいろいろです。しかし上記のような質問があると、マンガというジャンルに自然とBL(ときにはガールズ・ラブも)を含めてきた私も、「一般向けのマンガと何が違うのか」「なぜBLを読むのだろう」と考えることに。
 
 そこで私が好き=繰り返し読みたくなるBLを並べてみたところ、きっちり共通点がありました。それは「唯一無二の相手がみつかる尊さ」を描くこと。とにかく、様々なハードルを乗り越えながらも、2人が2人だけの世界を作り出す、きれいな恋愛物語をみたい。
 
そんな欲求を満たしてくれる作品のひとつが、中村明日美子さんの『同級生』シリーズ。
 
舞台は男子校。いわゆる「クラスの人気者」タイプの草壁光は、合唱の練習のときに歌っていなかった、自分とは違ったタイプの同級生、佐条利人が気になり始める。合唱の練習を通じて、お互いを意識しはじめ、恋人同士になっていく物語。2016年には劇場版アニメにもなりました。
 
身近な相手が、ふとした仕草で気になりはじめ、少しずつ時間をともにすることで徐々に相手を意識しはじめ、いつしか恋心に気が付くーー大人が忘れてしまったかもしれない、さわれば壊れそうな恋愛のすごくきれいでやわらかい部分が、中村先生の繊細できれいな線で描かれています。
 
もちろん成長過程の高校生。恋人同士といえるようになってからも、進路や、属するコミュニティの違いから、すれ違いが生じます。女性に人気のある草壁を見て、「やっぱり女性のほうがいいのでは」という考えがよぎる佐条。そのたびに物語の中で、少数派である男性同士のカップルだからこそ、「なんとなく一緒に居る」ではなく、お互いの思いを少しずつ口にしていくことで絆をしっかり強めていこうとします。
 
物語が進むにつれ、草壁と佐条は遠距離恋愛をに。新しい場所でつきあいがひろがるものの、「お互いが1番」という思いは崩れません。こうして、無数の相手から唯一無二の相手を選べればまたは選ばれれば幸せだろうなーーそんなこと思わせてくれます。
 
同姓同士のつきあいながら、草壁と佐条の場合、親との葛藤や周囲からの反対はほとんどありません(草壁や佐条の友人は、彼らが同性同士でつきあっていることを自然に受けいれる。佐条の母親も、紹介された草壁に「よろしくね」といってしまう)。親や同性の友達といった、自分の多くの人間関係のなかから、唯一の相手だけを選ぶ過程ーこれをひたすらに描いてきたBLの基本が、『同級生』シリーズでは草壁と佐条以外の複数のカップルの姿を通じて見えてきますす。(もちろん多種多様なBL作品がでるなかで、そうした恋愛のどろどろした部分、2人だけでは完結できない部分を描くものも多くあります)
 
■異性だからできる感情移入
こうした恋愛のきれいな部分を物語として楽しむとき「少女マンガでいいのでは?」という疑問が出てきます。
 
同級生 (EDGE COMIX)
作者:中村 明日美子
出版社:茜新社
発売日:2008-02-15
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確かに恋愛は少女マンガで重要なテーマ。少女マンガというジャンルができたときから、いろいろな形の恋愛が描かれています。しかし一部の読者にとっては、登場人物が同性だからこそ「こんなことはありえない」とキャラクターに感情移入しにくくなる。逆にBLは自分と違う性別(=男性)の恋愛模様だからこそ、「ひょっとしたら」と感情移入して物語に浸ることができるのです。
 
「仕事と私のどちらが大事なの」「友達づきあいと私、どっちが大切」ーー物語や都市伝説では、女性がつきあっている男性に対し「自分とほかの人間との関係、どちらが大切なのか」と踏み絵を迫ることがあります。これは裏返せば、多くの女性が、1対1で「誰か」との強い絆を求めているということ。BL読者に女性が多いのは、こうした女性の欲求を満たしているからではないでしょうか。
  
ちなみに私がBLを読むと答えると、多いのが「BLってなにを読めばいいのでしょうか」という質問。マンガだから好きなものを読めばいいのですが、なんとなくほかのマンガよりもハードルが高いのでしょうか。そういう点でも『同級生』シリーズはほかの作品よりも比較的直接的な濡れ場の描写が少なく、おすすめです。

 

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