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※この記事は2017年08月14日にマンガHONZ(運営:株式会社マンガ新聞)にて掲載した記事の転載になります。
レビュアー:川口 比呂樹

 幼少のころに「ラビリンス」という洋画を見て巨大迷路に憧れ、「グーニーズ」を見てしかけ付きのダンジョンを遺すことに憧れた。

遊園地や観光地にもさまざまな巨大迷路がある。

スタンプをおして歩くものもあれば、全身汗だくになっていどむ立体的なものまである。

あれらを作る動機は、

「人を楽しませたい」

「そこから収益を得たい」

「よその迷路より個性的なものを作って自己顕示欲を満たしたい」

などいろいろあるかと思う。

 

だが、本書に出てくるサラ・パーディ・ウィンチェスターの動機は、かなり“奇妙”なものだ。

 

変人偏屈列伝 (愛蔵版コミックス)
作者:荒木 飛呂彦
出版社:集英社
発売日:2004-03-19
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まず、このサラ・パーディ・ウィンチェスターは実在した人物である。

 

サラ・パーディ・ウィンチェスター

コネチカット州ニューヘブン生まれ。

1840年~1922年(享年82歳)

 

赤ちゃんと夫を亡くしたあと、莫大な遺産を相続した富豪の未亡人である。

他人にまかせた会社からは一日あたり約300万円の収入があったそうな。

ある日をきっかけにそこから39年間にわたって自宅を増築し続け、巨大なダンジョンを作り上げてしまったのだ。

 

160の部屋

2,000枚のドア

10,000以上の窓

40の階段

40の寝室

 

ただ、この増築のユニークなところは、ことごとく外部から来る者への嫌がらせのような仕掛けが施されていたことだ。

 

登っていくと天井につきあたる階段

開けると壁という窓

どこへもたどりつけない廊下

 

「ダンジョンを作りたい欲」をお持ちの方はこのあたりでよだれがだらだらと出てしまうだろう。

それは私だ。

赤ちゃん用のスタイを付けないとならないぐらいだ。

今ではガイド付きのツアーがあるそうだ。

ああ、このウィンチェスター・ミステリー・ハウスに行って見たいぃぃぃ

中をくまなく散策したいぃぃぃ

行き止まりになる階段を味わいたいぃぃぃ

意味のわからない廊下で迷いたいぃぃぃ

もう夢いっぱいだ。

 

しかし、サラ・パーディ・ウィンチェスターの動機はそんなお楽しみに満ち溢れたものではなかった。

JoJoの荒木飛呂彦がこの未亡人をセクシーに格好よく描ききる。

そして、スタンド的な解釈もふまえてゾクゾクするようなストーリー展開に仕上げている。

本当に荒木先生の想像力には恐れ入る。

単行本版は窓抜きの格好良いブックカバーでめちゃめちゃ装丁に力が入っているので、飾っておきたい方におすすめだ。

むろん、私は飾っている。

*この書籍には、6つの変人偏屈の伝記が掲載されている。そのうちの2作品が荒木飛呂彦によるもので、他の4作品は原作・構成を荒木飛呂彦が担当している。

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