TOP > 戦争になる前に読んでおきたい、兵隊さんたちの食事情...

国際情勢がキナ臭さを増すなか、いざ戦争になったらどうしよう!?ととまどう方もいらっしゃるのではないだろうか。

 

僕自身、戦争に行くことだけは絶対に嫌なのだが、人殺しなんて絶対にしたくないという理由だけでなく、そもそも戦時下の環境に身を置くことに耐えられる気がしない。

紛争地域の映像や戦争映画を見るだけで、こんなところじゃ風呂なんて入れないんだろうなぁ(マンガ新聞男性レビュアー陣には僕含め銭湯・サウナ好きが多い)、きっとカロリーメ〇トみたいなパサパサした食事かゼリーしか食べられないんだろうなぁ、と気の毒に思う。

 

戦争とは違うのだが、小学生のときに阪神淡路大震災で被災した際、断水して風呂もろくに入れず、牛乳でご飯を炊き(水は超貴重だったのだ)、支給された冷たい菓子パンをかじりながら日ごろの生活のありがたみを心に刻んだ。

1995年はオウム事件など社会に大きなインパクトを残す出来事が多かったが、やはり関西に住んでいたこともあり災害時の生活はいまでも特に鮮明に記憶している。

そんな災害時よりも厳しそうな戦時下の生活など心身ともにまっぴらごめんだ。

 

 

そして、その思いはこの作品を読んでより一層強く感じることになった。
それが今回ご紹介する『めしあげ!! ~明治陸軍糧食物語~』だ。

 

以前、『戦争めし』という作品をマンガHONZで取り上げさせていただいた。
『戦争めし』でも戦時下の食生活について触れられているのだが、特に焦点が当てられていたのは市民たちの食生活だった(もちろん戦争最前線の様子も描かれているが、ウンチクあり、人間ドラマあり、の一般市民たちの食生活のほうが僕には印象的だった)。

 

 

『めしあげ!! ~明治陸軍糧食物語~』ではより戦争に向かう兵隊たちの食事情が中心に描かれている。
主人公・千歳は空腹に耐えかねて泥棒を繰り返していたのだが、あるとき陸軍の残飯のウマさに感激し、腹いっぱい食うんだ!と志願入隊するところから物語は始まる。いよいよ日露戦争が勃発し、千歳たちは中国・遼東半島に降り立つのだが・・・というのが第1巻のあらすじだ。

 

 

特に面白かったのは、上官から現地で食料調達を命じられるシーン。
現地の中国人の新鮮な食べ物と、陸軍が携帯していた牛肉の缶詰を交換するのだが、言葉が通じないうえ、恐怖心や文化の違いがあったりしてなかなかうまくゆかない。
じゃあどうするのか・・・というのは本書にゆずるとして、戦争の相手であるロシアだけでなく慣れない環境とも戦わなければならない兵士たちの苦労がしのばれる。

 

 

支配侵略のする・される側の都合や感情が実はもっとも表れていたのは、実は食に関することだったのかもしれないなー―そんな風に思いを巡らせながら読むと、当時の極東アジアのバランスを学ぶことができるのではないだろうか。
現代だと戦地でももっと食環境は改善されているだろうし、もっとデジタルな戦争になっているのかもしれない。
だけど、今も世界中で繰り広げられる紛争や、未来に起こってしまうかもしれない戦争のことをイメージする一助になるはずだ。

 

さて、第1巻の最後ではいよいよ日本軍がロシア軍と対面することになる。
主人公たちは果たしてこの戦争を戦い抜き、再び腹いっぱいグルメを堪能することができるのだろうか?
司馬遼太郎『坂の上の雲』ですでに日露戦争については様々な角度からの考察がなされているが、「食」の切り口からどんな戦争の真実が見えてくるのか、とても楽しみだ。

めしあげ!! ~明治陸軍糧食物語~(1) (角川コミックス・エース)
著者:清澄 炯一
出版社:KADOKAWA / 角川書店
販売日:2017-08-26
  • Amazon
▶マンガがお得に買えちゃう情報満載!

人気のコメント

新着コメント

一回振り返る必要ありね

ログインして
すべての人気のコメントを見る

ご自身のTwitter、Facebookにも同時に投稿できます。

《マンガ新聞》公式レビュアーの方はログイン
 ※新規ゲストのログイン機能は準備中となります

利用開始をもって
《利用規約》《個人情報の取扱について》
同意したものとみなします。
ログインメニューに戻る
ログインメニューに戻る
パスワードを忘れた方は
《パスワード再設定》を行って下さい。
ログインメニューに戻る