TOP > 「女だって考えるよ」性にふりまわされる若者を描いた...

あなたは性の目覚めが「いつ、どこで」だったか覚えていますか?

 

私は明確に覚えています。小学3年生の夏休み、クーラーがガンガンに効いた部屋の中で、カーテンから差す強い日差しに目が覚めた時。クイーンサイズのベットが、不規則に揺れていました。
子どもながらに何かがおかしい気がして、すぐに目を開けることはせず、そっとうつ伏せの姿勢から薄目で隣を盗み見ます。すると同じベットの上で、母が、何かよくわからないけれど、"イケナイコト"をしていたのです……。

 

"性の目覚め"は人それぞれ。
インターネットが普及したことにより、今の時代は簡単に知識を得ることができるようになりました。"性"への接触機会は、昔と比べて格段に増えただろうと思います。
昔は高架下に捨てられた、えっちな本を盗み見ていたのかもしれません。しかし今となっては、WEBサイトにあるアダルト広告だけでも、想像力豊かな若者であれば興奮できる時代がやってきました。

 

世の中の人間は、必ず以下2種類のどちらかに分類されることでしょう。
「性にふりまわされる(すけべな心を持つ)人間」または「性に無関心な人間」。

 

私は前者でした。そして世の中の大多数が前者だと信じています。みんな口にしないだけで何かしら興味はあるにちがいない。
恥ずかしがることなんてなにもないと思います。
私だけじゃない。あなただけでもないんです!

 

本日はそんな、性にふりまわされる若者…それも純文学を嗜むような、純粋で、ウブな乙女たちをテーマに描きつつ、王道胸キュン少女マンガとしての要素をしっかり取り入れた作品『荒ぶる季節の乙女どもよ。』を紹介します!

 

荒ぶる季節の乙女どもよ。(1) (週刊少年マガジンコミックス)
著者:岡田麿里
出版社:講談社
販売日:2017-04-07
  • Amazon

 

少女の白い肢体
その下腹部の柔らかな茂みの前に 私は跪いた……
顔を埋めると 青草の香りがぷんと鼻をつく
私は その茂みに分け入り
彼女から流れる甘美な汁を あまさず 飲み干した… 

 

冒頭、少女5人の口から朗読される"純文学作品"の性描写シーンから、この作品は始まります。

 

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』の舞台は高校の文芸部。
改めてあらすじをご紹介すると、女子部員5人が、文学を通して性とは何かについて考え始め、思春期の若者らしく性にふりまわされる作品となっています。

 

私はこのマンガをあらゆる乙女たちに読んでもらいたい。
特に、世間一般に言われる"オタク"女性の心にはどこか刺さるものがあると思います。
過去を振り返り、「わかるわかる~」といった共感もあれば、「うあああ思い出したくない恥ずかしいやめてくれ~!」といった羞恥心もあるかもしれません。

 

あの時の乙女時代に戻り、ついこんな言葉を声を大にして叫びたくなる。
それが『荒ぶる季節の乙女どもよ。』です。
そしてなんだかんだ言いますがこの作品、少女マンガとして最高に胸キュンします!

 

文芸部員の5人の乙女たち

小野寺和紗(おのでらかずさ)

癖の強い部員の中で、"特徴がないことが特徴"と言われる、おとなしくて地味な主人公。隣の家に住む幼なじみ・泉とは仲が良かった。昔は小さくてのんびり屋、弟のような存在だった泉だが、大きくなるにつれ、女子から人気が出てきたことによりだんだん距離を置くようになっていた。部活動で性について話題が上がり過剰に意識してしまっていたある時、偶然にも泉の自慰行為を目撃してしまう。

「あんな あんなの 私の知ってる泉じゃない!!」
「ヘンだ 私
 やだ やだよ もう いやだ ……私
 性に ふりまわされたくないよ…!!」

 

菅原新菜(すがわらにいな)

なぜ文芸部員なのかと思うほどの美少女。周囲の男子いわく「掃き溜めに鶴」。純文学の性描写を冷静に分析する一方で、性に関して一番はじめに隠すことのない興味を示した人物。彼女の言動には常にミステリアスな色香が漂うが、ふいに発した一言が文芸部員の心を大きく突き動かすことになる。

「セックスです …私が「死ぬまでにしたいこと」です」

 

曾根崎り香(そねざきりか)

文芸部部長。前髪センター分け眼鏡の長身。いろんなことに潔癖だと言われる堅物な性格。性に対して拒否反応がひどく、汚らわしいとすら口にする。クラスメイトの性に対してあけっぴろげな会話に反発し、対立してしまい「ブス」と心無い言葉を投げかけられるも、「曾根崎さんってそんなブスかぁ?割と可愛い気するんだけど」とその場を収めてくれた男子生徒・天城との関係が、徐々に彼女を変えていく。

「セッ……なんて そんなの…
 汚らわしいのよ!! 性の獣がッ!!!」

 

須藤百々子(すどうももこ)

和紗の親友。温厚な性格と、ふわっとしたふたつくくりのおさげが特徴。 予備校で小学生の時の同級生と再会し、デートに誘われるもよくわからないという理由で断りを入れる。

「も~…最近全ての言葉がセクシャルに聞こえる!」

 

本郷ひと葉(ほんごうひとは)

女子高生ながら、「謎の作家さんオーラ」が出ている先輩。出版社に持ち込みしているが、経験の無さから「リアリティがない」と言われていることを気にしている。性について学ぶため、インターネットで怪しげなサイトを利用し、夜な夜なやり取りをしていたがついに"実体験"を求めていく。

「セックスを知らないで 文学は語れない…」

 

個性豊かなこの5人のメンバーが、作中で性にふりまわされる姿は青春…いや、性春そのものです。


また、この作品を手掛けるのは、原作:『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』岡田麿里×作画:『それでも僕は君が好き』絵本奈央!
どちらの作品も好きな私からすると、この夢のような実力派コンビが描く少女マンガは、フィクションでありながらもどこかリアルで、じくじくと恥ずかしさすら覚える過去を思い出してしまいます。

 

作中で描かれる"性"への接触点

この記事の冒頭でも問いましたが、"性"を意識した瞬間というのは人それぞれです。
私のように親からの人もいれば、TVでの濃厚なラブシーンを観た人、たまたま下腹部に何かしらの刺激を受け、性に目覚めた人もいるでしょう。

 

『荒ぶる季節の乙女どもよ。』が面白く、かつ少女マンガとしてとても良いと思えるのはなぜか。それはそんな"性"への接触点と、思春期の様々な感情をうまく絡めて描いているからだと思います。

 

(1)幼なじみの男の子(の性行為目撃)
(2)クラスメイトの女子(の猥談)
(3)インターネット(上での相手との会話)

 

本作のメインヒロイン、和紗は(1)幼なじみへの恋愛感情に、"性"を意識して初めて気が付きます。
姿形は成長しても、中身は変わらないと思っていた相手の自慰行為に、"そういうことするんだ"と信じられない気持ちで混乱するも、「誰かとどうしてもしなくちゃ地球が滅びるとしたら誰としたいか」と聞かれ、思い浮かぶんだのは「泉」。

 

思春期って、誰でも一度は身近な相手との行為を想像したりするものなのではないでしょうか。
友人に彼氏ができたと聞いたら、(ああもうもしかして処女じゃないのかな?)とか考えたりするのでは?
和紗はそんな、ピュアだけど、でもどうしても気になる!といった乙女心を、これでもかというほど代弁してくれる存在です。だからこそ、目が離せない。
同時に、現実には中々いない"かっこいい幼なじみ"ポジションの泉との展開は、和紗に共感して自分を重ねた読者の胸キュンを誘い、ドキドキできます。

 

とてもいいキャラクターかつ、性の題材だと思います。


 

潔癖な女の子、曾根崎は(2)クラスメイトの女子の性に奔放な会話に「私はあいつらとは違う」と自分へ言い聞かせます。
「処女膜破けたんじゃない」なんて適当な言葉を真に受け、確認しようにもできない。馬鹿にされてる気がして、涙が出てくるけど強がる。
正直一番ぐっときました。要は自分が知らない世界への恐怖・憧れ・焦り…などの複雑すぎる感情に、正気を保てていないのです。

 

置いてけぼりにされている。けれど同じ土俵に立つ勇気もない。そんな自分を認めたくなくて、はじめから興味なんて無いフリをする。
それでも気になるものは気になる。だからつい突っかかったり、過剰な拒否反応を起こしてしまう。
意外とこのケースに当てはまる女子は多い気がします。
そんな時に現れた天城の存在。曾根崎が心動かされる姿に、読者も「うおあああああ」と照れくさくなること間違いなしです。(私は顔を覆いました)


 

最後に、本郷の(3)インターネットで得る知識、そこからリアルで性的接触を持とうとする流れについてです。
ここは現代の在り方を表していて、どこか怖い反面、十分にあり得るだけに妙なリアリティを感じました。

 

出会い系サイトや婚活サイトが多く利用されている現代、いつでも経験しようと思えば経験できる世の中だと思います。
作中では、少女マンガかつフィクションだからこそ、変な事件に巻き込まれることはありませんでした。現実に目を向けてみると、インターネット上から始まった関係の中にも、清純な恋愛に発展しているケースはもちろんあります。
しかし、やはりどこかで背徳感や、してはイケナイコトの空気が漂う本郷のエピソード。直接的でない"エロス"を感じ、これもまた私の胸の裏側をぞわりと撫でる構成でした。


あらゆる面から、「おもしろい!すすめたい!読んでほしい!」と思った『荒ぶる季節の乙女どもよ。』!
気になった方はぜひ読んでみてください!お願いします!

 

荒ぶる季節の乙女どもよ。(2) (週刊少年マガジンコミックス)
著者:岡田麿里
出版社:講談社
販売日:2017-08-09
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