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1年を72に分け、日々を丁寧に暮らす。『美味しい! 日本のくらしと七十二候』

※この記事は2015年4月23日にマンガHONZ(運営:株式会社マンガ新聞)にて掲載した記事の転載になります。
レビュアー:菊池 健

?一心不乱に頑張って生きてきた人が、ふと人生を振り返り、生き方や仕事を考え直すタイミングがあります。その時に、誰と出会い、何を語らうかは、人生第2の生誕と言えるくらい大切な瞬間です。

『美味しい! 日本のくらしと七十二候』は、そんな瞬間を迎えた著者が、師と出会い、日々の暮らしを充実させていくエッセイマンガです。1年を四季よりはるかに細かい72(約5日間ずつ)に分け、丁寧かつ繊細に、美味しそうな食べ物を通じて感じていくものです。

厳しいプロ作家の生活に消耗して行きついたのは、丁寧に生きるという事。

歴史漫画家として行き詰まり感じていた私が、作品について悩んでいた時、

編集者Iさん「広田先生の暮らしは、そらさんの作品に感銘を与えてくれると思うよ。」

と、ご紹介を受け、広田千悦子先生のお宅にうかがうことにしたのでした。

そらあすかは、2009年の「歴女」ブーム華やかりし頃に『戦国武女子、参る! いっそ武将に仕えたい! 』でデビューしました。以降、企画ものの単行本を描く仕事から、雑誌連載、新聞4コマ連載など、現在まで一貫して「歴女」漫画家として第一線で活躍してきました。

トキワ荘プロジェクト出身ということもあり、デビュー当初から付き合ってきた私ですが、彼女がそれほどまで悩んでいたとは知りませんでした。むしろ、会うたびに新しい事にチャレンジしていて、人を紹介しても、毎度しっかり仕事と結び付けていく逞しさに、惚れ惚れしていたものでした。

そんな彼女が、うつわ・ことば・絵の先生である、広田千悦子さんに会いにいきます。

神奈川県の三浦半島にある秋谷で、海と山に囲まれて四季を感じながら暮らす広田さん、それに比べて自分の生活は、都会の家から一歩も出ず仕事、仕事、仕事。和を愛する日本人としてもっと趣のある暮らしがしたいと考えた彼女は、広田さんに弟子入りを志願します。

そら「広田先生!どうすれば私も広田先生のような暮らしが出来ますか!?教えてください!!」

広田さん「う~ん、くらしというのはその人それぞれの意識次第。教えるというのは少し難しいですね・・・でも、意識を変えるとっかかりになることを教えることは出来ますよ。」

恐らく、この瞬間が彼女にとってのターニングポイントを描いたもののようです。人生に行き詰まりを感じた一人の人間が、師を得ることにより息を吹き返す瞬間です。ここから、広田千悦子さんによる1年を72に分ける「七十二候」の説明が始まります。

「七十二候とは」著:広田千悦子

太陽の動きに沿って1年を二十四つの季節にわけたのが「二十四節気」ですが、その二十四節気をさらに三つの季節に分けて七十二の季節にしたものを「七十二候」と呼びます。七十二節のひとつひとつには、名前がついていて、ほぼその期間の季節の様子を思い浮かべられるような内容の名前になっています。(中略)

と、あるように、対になっている七十二候もいくつかあり、ものごとを様々な側面から捉える事で生まれる楽しみも教えてくれるでしょう。


「美味しい!」とタイトルにあるように、以降は色気のある季節の描写に、美味しそうな食べ物を添えて、お話が進んでいきます。

冬至や夏至から、ひな祭り、節分、花見、土用、月見、初鰹などなじみ深いものから、芒種、穀雨、白露と言った、聞きなれない時候まで、その意味からいわれのあるコトモノ、そして勿論美味しい食べ物と、淡々と紹介されていきます。

著者を知る身としては、仕事と生活に張り詰めていた彼女が、人生を取り戻す如く穏やかさを取り返していく過程そのものが描かれているとも感じました。ためしに妻に読んでもらったところ、「ホッとするマンガ」と思ったそうです。

花見も過ぎて、しばらくは過ごしやすい日々が続きます。優しいタッチで季節を噤む本作を読んで、1年の過ごし方を考えてみるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

そらあすかデビュー作、テレビ番組などでも話題になりました。現在はKindle化しています。

戦国武女子、参る!いっそ武将に仕えたい!
作者:そらあすか
出版社:KADOKAWA / メディアファクトリー
発売日:
  • Amazon Kindle

? そらあすかのサイトは、こちら。

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