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グルメマンガは2周程回ってエルフが和食に感動する所まで到達『異世界食堂』

全く知らなかった美味しいものとの出会いで、一番インパクトがあった一品と言えばなんですか?「今まで食べた一番美味しいもの」ではなく「出会いが強烈だった、初めての食べ物」のお話です。

 

私にとっては、10年ほど前に食べた、メキシコ人夫妻手作りのタコスほど、強烈な出会いはありませんでした。

 

中米のホンジュラスという国に長期ステイしていた頃、一緒にステイしていたメキシコ人夫妻に、日本のカレーライスを作ってご馳走しました。食材集める苦労が楽しかったです。それが美味しかったかどうかは判らないのですが、お礼にとお返しに作ってくれたのが、彼らのお家で普通に食べていたのであろうメキシコの定番家庭料理、普通のタコスでした。

 

トルティーヤは粉から手作り、サルサソースのためのネギやトマトは、とりあえず野菜を洗剤で洗うところから始まります。

(中米辺りでは、食べる前に農薬を食器洗剤で洗い落とすのが、料理の過程の一つです。)

お肉はちょっと不思議な味付けでしたが、特別なものは使いません。むしろ、内臓のごった煮みたいなのが味わい深いんだなんて話も聞きました。

 

少し変わっていたのは、丸まま焙った長ねぎを、外側の焦げたところを食べずに、中の柔らかいところだけ、口でチュルっと吸い出して食べるところでしょうか。最近は日本でもそういう料理がありますね。

 

そしてその、材料も調理工程もなんの変哲もない、家庭料理のタコスができたわけですが、

これがまた異世界的に美味いのなんのって!!

 

いや、作るところも全部見てて、なんなら手伝ってもいたわけで、もう本当に何が違うか全く理解できなかったのですが、とにかく美味しかったんですよ。

 

最近、ココイチのカレーにハマる外国人バスケ選手が話題になりました。現象としては多分それに近いのではないかと思うのです。未知の国で、いきなり完成度の高い日常料理にぶち当たったら、大変な衝撃を受け過ぎてもう一生忘れない味になるのですね。以来、たまにメキシコ料理店に行ってみるのですが、あの味にはまだ再会できていません。

 

そして、ココイチ大好き、熊本ヴォルターズのジョエル・ジェームス選手のカレー好き過ぎるリアクションが多くの人に愛され、チーム人気も活性化するように、自分たちの好きな食べ物を、誰かが新発見して好きになっていく過程は、たまらなく愛おしいんですね。この現象に誰か名前をつけて欲しいのですが、名前が付く前からそんなマンガがあるんですよ。

 

ファンタジー作品と料理の関係に新潮流、一周回ってモンスター料理、もう一周まわって普通の料理

さて、まずご紹介したいのは『異世界食堂』です。
 

異世界食堂(1) (ヤングガンガンコミックス)
作者:犬塚惇平
出版社:スクウェア・エニックス
発売日:2017-06-24
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「洋食のねこや」は毎週土曜の店休日だけ、なぜか異世界との扉が開通します。
魔族、エルフ、ドラゴンなど異世界の住人たちは、毎週土曜日だけ、丁寧に作られた人間界の普通の食事を堪能するために、ねこやを訪れます。

 

本作で私が好きなところは「基本的にお料理が普通」なところです。
崖の途中でしか取れない特別な卵を取って来るシーンもありませんし、どんぐりを食べさせたA5ランクの霜降り肉も、アイドルグループが畑から作るような小麦も出てきません。

 

ただもう、タコスしかり、ココイチしかり、同じように変哲もない、でも丁寧なお料理が、異世界の住人にとっては魅力的である様が描かれています。

 

ファンタジー作品と料理と言う組み合わせで言えば、『ダンジョン飯』においては、想像もしないかったようなモンスターのお料理が見どころでした。

まおゆう魔王勇者』では、そもそも世界に存在しなかった作物の作づけから、新たな料理の発明過程が面白かったですね。

 

 

本作『異世界食堂』では、森の住人エルフの料理自慢が、人間の調理技術に驚愕する辺りが私的な見どころです。

 

トールキンの『指輪物語』以来、エルフと言えば耳が長くて長命で、種族の外交姿勢は排他的。お料理的に言うと、野菜しか食べなさそう(この辺りは作品に寄りますけども)まぁ、薄味の野菜中心食っぽいイメージの種族ですね。この辺りは、大河ドラマで織田信長が本能寺で討たれることが決まっているように、世界観として共有されているところだと思います。

 

そこに来て、我々日本人にとって普通の食べ物が彼らにとって感動的出会いであるということは、良く知る異世界の住人が、自分たちの好きなものを好きになっていく過程が眺められるわけですね。料理ものであって、やはり人(亜人とかだけど?)を見せる作品と言えると思います。「料理が普通過ぎる」とか言っては野暮というものです。そういう作品なんですから(笑)

 

出てくるお料理がメンチカツとかビーフシチューとか、普通に食べれるものだけに、読むとすぐに食べたくなります。そういう意味では、手の届く伝染性の高い作品です。外食できる前の日などに読むと良いかもしれません。

もひとつ、おすすめエルフ作品 

 

この話題でどうしてもご紹介したいのがもう一点、『エルフさんは痩せられない。』です。

 

エルフさんは痩せられない。 1巻 (ガムコミックスプラス)
作者:シネクドキ
出版社:ワニブックス
発売日:2017-06-26
  • Amazon
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こちらは、グルメというよりはダイエットものなのですが、その主人公のエルフさんがなんで太ったかという原因となる食べ物が、本当に変哲もなくて私も大好きです。

 

というか、私もそれが大好き過ぎて、中学生の頃同じミニストップに1日3回行って、店員さんに呆れられるほど買い食いした自己記録があります。そりゃ太りますよ、私もエルフさんもね。

 

そしてこの漫画の新開発は「太ったエルフさんはかわいい」というところでしょうか。個人的に、大変好みです。なんというか、ベストな状態のうちの嫁さんはこんな感じかもしれません。はい。あ、いえ、いつもベストなんですけどね。

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