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キュートな豚キャラに騙されるな!『泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート』妄想なのにまるで戦場にいるような感覚

「恥部」だから見たいんです!!知りたいんです!!

 

世間からだと白い目で見られるけど、知りたい気持ちが抑えられない。

そんな趣味に「軍事(ミリタリー)」がある。(私は軽度軍オタ)

 

アニメ監督 宮崎駿は、軍事を「人類の恥部だ」と罵倒しつつも、軍事を趣味とし愛好するという、屈折した二律背反性を持っている。

 

で、今回紹介する『泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート』はなんと宮崎駿が描いた漫画だ。

この漫画は、宮崎氏が作りあげたジブリアニメ、そんな感じの正しくおもしろい万人に向けた話ではない。

 

第二次大戦末期の北方の森の国・エストニアで、<タイガー戦車>という最強の鋼鉄の棺桶に足をつっこみ、東部戦線でソ連と対峙する。泥臭く、硝煙と血の戦争の話だ。

 

妄想の戦争

 

この漫画は、ドイツの戦車兵のエース <オットー・カリウス>が見た光景を、宮崎駿が妄想と想像をフル動員して、カリウスの奮戦する姿を描いている。

 

線や彩色は、いつもの宮崎駿のストーリーボードと同じで柔らかく、主人公は豚でディフォルメ化されていて可愛いけど、戦車の持つ禍々しさ、鉄の硬さや砲弾で巻き上がった埃の臭い、岩を砕く音など、絶望的で無慈悲な戦場を描ききっている漫画だ。

(ハッピーエンドなんてない)

 

戦車なんて知らなくても

 

もちろん、戦車なんて知らなかったり、興味がなくても大丈夫。

この漫画を読み始めてしまえば、グイグイと読み込んじゃいますから。さすが宮崎駿。やはりあれだけのアニメ作品を作った才能。構成力や物語の進め方が緻密である。

 

カリウスというキャラの目をとおして、読者は戦場を解釈していく。

問題をひとつずつ解決して進める戦場なんて無い。優先順位一位の問題が同時に起こり、どうやって対処するのか?その捌きっぷりに鼓動が脈打ち、緊迫感を作り上げる。

 

その姿勢は妥協しない

 

カリウスの自伝を読み込み、戦場であるエストニアに取材に行く追求力、当の本人であるオットー・カリウスにインタビューする胆力。

作品作りに全く妥協していないその姿勢は、宮崎駿そのものなのである。

 

稀代の天才が、時代を超えて戦場の生への渇望を紡ぎ取り、カリウスが感じたであろう戦場の空気を可能な限り濃密に漫画として落とし込んでいる。

そして伝わるのだ、手にとるような臨場感が。だから、本誌面に宮崎駿が妄想のなかで四苦八苦し、苦悶した爪痕を見ることができる。

 

 

これがアニメ化したら、多分 映画『プライベート・ライアン』の冒頭10分のノルマンディー上陸シーンを超えるだろうな。( ・`ω・´)キリッ

 

とにかく、戦争の肉体労働的苦労と恐怖が伝わります。

 

 

こんな人におすすめ!

 

・宮崎駿のもう一つの一面を見たい人。

・ガルパン、艦これでミリタリに興味を持った人

・ジブリがいい子ちゃん過ぎて刺激が欲しい人

・タイガー戦車が好きな人

・タイガー戦車とオットー・カリウスをもっと好きになりたい人

 

泥まみれの虎―宮崎駿の妄想ノート
著者:宮崎 駿
出版社:大日本絵画

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