TOP > マンガ新聞レビュー部 > ダイバーシティの真髄がある『ワールドトリガー』キャ...

 

 「2018年に一番読んで、一番レビューを書いたマンガは?」と自問して、出てきたのは葦原大介先生の『ワールドトリガー』(WT)でした(多分)。多分5回以上通読しています。

 

 待望の連載も再開し、12月4日には村上鋼さん表紙の新刊19巻が発売されます。

 

 純粋にSFマンガとして面白いだけでなく、いま社会で求められているダイバーシティ(多様性)の真髄があるので、未読の方はお急ぎください。

 クリエイターには、絶好のキャラクター・物語・設定づくりの参考書にもなります。

 

 

 

 WTは週刊少年ジャンプで連載が始まったマンガ。

 異次元からの侵略者「近界民(ネイバー)」の脅威下にある三門市を舞台に、 努力型キャラ・三雲修が異世界から来た少年の空閑遊真と出会い、侵略者との「戦い」に向かうSF・バトルアクション作品です。

 

 と、作品の説明を書いてみましたが、難しい。それはこのWTがすごくレベルの高い群像劇だからです。

 

 公式に主人公は「4人」とされているし、読み進めるほどに思い入れのあるキャラは増えてくる。あるキャラやチームを応援して読んでいたら、次の話から敵側のストーリーが出てきて「えっ!?」となります。どんなキャラもいまそこにいる理由と背景があると納得させられます。

 

■「ダイバーシティってこういうこと」と腑に落ちる

 

 まだ20巻にも達していないのに、老若男女問わず「これでもか」と魅力的なキャラクターが、それぞれの思いを持って動き始める。

 

 同じ組織のなかで、思いも狙いも違う人同士が、当面の大きな目的のために落としどころを探り、物語を進めていくー現代の組織が求めるダイバーシティがここにあるのです。

 

 

 体育会系も天才も秀才も努力派も、うじうじキャラも陽気なキャラも、復讐目的も防衛目的も、戦い目的も全員いる。かっこいい大人もダメな大人も、子供らしい子供も、大人っぽい子供も、ロンリーウルフ型も出てくる。

(これでどれが誰かわかった方、ご連絡ください)

 

「ダイバーシティってどういうことかわからない」という方にも、全力でお勧めしたいです。

 

■伏線の魅力 いろいろなものの大切さがわかる

 

 さらにいうと、キャラクターの設定も外見も誰一人として重ならない。

(どことなく似ていると「実は血縁関係」といわれて「なんだと!」となります)

 

そんなキャラの設定や関係性も、言葉で説明するのではなく、何気ないやりとりやちょっとしたエピソードで巧みに見せてくる。

 そして一人一人のキャラクターが、一本芯の通った信念のもとに、本当に生き生きと動くのです。

 

 注目したいのは大人組です。「少年マンガ」として始まったので、10代の少年・少女が友情・努力・勝利を兼ね備えているのはもちろん、大人の男女もかっこいい。

 

 いろいろな人から反発や攻撃を受けても、自分の目指すところのために全力を尽くすーー職業人が目指すべきプロがここにいます。リアルにいい上司がいない人には、ぜひボーダーの上層部を仮想上司にしていただきたいです。

 

 そして彼らが織りなす物語も、先生流の伏線とメッセージが込められたもの。

 

 「努力が必ずしも報われるわけではない」「気合が上回った人が必ずしも勝つわけではない」「パワーアップはできるときにしておく」「ペンチ、最強」など。

 

 私は「何かをやるにはお金と人材が必要」「広報、重要」も実感しました。あと、バトルマンガで主人公の見せ場を戦いの場以外にできる、とか。

 

 マンガでも小説でも、キャラクターの出てくる物語を作る方は、参考にできると思います。

 

■私流WTの楽しみ方

 

 これからWTを楽しみ始められる方は羨ましいとしか言いようがありません。

 そこでぼんやりと、楽しみ方を考えてみました。

  

①本編を読む。

 紙でも電子でもいいので、まず単行本を読む。

 一通り物語展開を押さえておきましょう。

  

②単行本表紙下のおまけとQ&Aを読む。

 電子版にもついています!

 「え、このキャラにこんな背景が?」と驚きます。

  

③②を踏まえて本編を再読する。

 キャラクターはもちろん、伏線とかも楽しいです。

  

④みんなの感想や解釈を読みに行く。

 ジャンプ+のコメントが最高でした。

 ツイッター、Amazonのレビュー、読書メーターがいい感じです。

  

⑤感想や解釈を踏まえて再読する。

 私は、気が付いていないことがたくさんありました。

 のちのちの重要キャラクターが最初にモブで出てきていたとか。

 

⑥満を持してオフィシャルガイドブックを読む。

 WTには『ワールドトリガーオフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE」(通称、BBF)という最強のガイドブックがあります。

 キャラクターのパラーメーター、頭の良さ、モテ度が細かく書かれています。

 海外版「SHONEN JUMP」に掲載された葦原大介先生のインタビューも収録されていますので、これだけ読むのでもありです。

  

 

⑦オフ会に参加してみる。

 いろいろな作品の沼にいますが、WT沼は初心者にもベテランにもやさしい。

 いつも新しい発見があります。
  

⑧本編に戻る。

 ここまでくれば、もう沼に浸っているようなものです。

 あとは繰り返し単行本などを読みながら、新作を待ちましょう。

 アニメやグッズもありますので、場合によっては取り入れてもいいと思います。

 

 

とにかくいろいろな読み方・楽しみ方ができるWT。みなさまの感想・解釈をお待ちしております。

 

 

ワールドトリガー 19 (ジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:葦原 大介
出版社:集英社
販売日:2018-12-04

 

 

なお、WT連載は「ジャンプS.Q」に移籍になります。

週刊誌に加え、月刊誌を買う未来が見えた。私のサイドエフェクトがそう言っている・・・・

 

  

 

 

※このレビューの執筆にあたり、ジャンプ+で無料公開されていたWT100話のコメントを参考にさせていただきました。すごく助けられました。みなさま、ありがとうございました。

 

関連記事

>>ジャンプを卒業した大人が漫画『ワールドトリガー』を読むべきたった3つの理由

この記事に類似する記事

▶マンガがお得に買えちゃう情報満載!

人気のコメント

新着コメント

ログインして
すべての人気のコメントを見る

ご自身のTwitter、Facebookにも同時に投稿できます。

《マンガ新聞》公式レビュアーの方はログイン
 ※新規ゲストのログイン機能は準備中となります

利用開始をもって
《利用規約》《個人情報の取扱について》
同意したものとみなします。
ログインメニューに戻る
ログインメニューに戻る
パスワードを忘れた方は
《パスワード再設定》を行って下さい。
ログインメニューに戻る