TOP > マンガ新聞レビュー部 > おばあちゃんのお弁当をトイレに捨てたことはあります...

わたしは2歳の頃からばあちゃんに育てられた。
母はスナックのママだったので夜は帰ってこないし、父は離婚して顔もあまり覚えていない。

 

ばあちゃんも独身かつパワフルな人だったので、大型免許を持ち、男性に混じって夜中に10トントラックを乗り回していた。
そんじょそこらの男は腕相撲で勝てなかったぐらいだ。

 

そんなばあちゃんが、最近とても小さくなった。
(身体的にはふくよかになってきたけど)

 

仲居さんのバイトで膝を痛め、トラックの運転手も卒業し、現在の趣味は食べることとアニメや映画を観ることだ。
(『黒子のバスケ』の主人公を「くろこっち」と呼び溺愛している。)

 

まだまだ元気な66歳だけど、それでも、彼女の背中はとても小さくなった。

 

最近よく思う。
もしばあちゃんが死んじゃったらどうしよう、と。

 

漫画『良い祖母と孫の話』がぐさぐさ心に刺さる

 

良い祖母と孫の話 (エッジスタコミックス)
著者:加藤 片
出版社:小学館クリエイティブ
販売日:2016-09-10

 

 

ある日、Twitterで衝撃的な漫画が流れてきた。
主人公のしょう子は女子高生。父と祖母の3人暮らし。

 

祖母は毎朝、しょう子のお弁当を作る。

 

「今日も運動会の練習あるんでしょ
 どう? 大変?」
「べつにフツー」
「おばあちゃんも運動会見に行こうかな」
「高校の運動会は家族来ないんだよ
 おばあちゃん」
「あ…そうなの」

 

どこかそっけないしょう子と、そんな孫に少しオドオドしているけど優しいおばあちゃん。

 

悲しいけど、どこにでもありそうな光景だと思う。
普通と違うかもしれないのは、その後の部分だ。

 

おばあちゃんに持たされたお弁当を、しょう子はお昼休み前に学校のトイレに捨てる。
彼女はいつも、お昼は自分で買った菓子パンを食べている。

 

お弁当を捨てている事実は、第1話でおばあちゃんが入れ忘れた箸を学校に届けにきてくれることでバレてしまうのだが、その時、しょう子はこう思う。

 

何も知らないかわいそうなおばあちゃん…
でも私だってずっと我慢してきた…!

いつも気弱でオドオドして
私の食べられないものばっかり

息がつまる

だからこそ
これは良い祖母と孫でいるために
必要な厳しさなのだ

 

家族の中にもある、人間関係構築の難しさが、この物語に描かれている。

 

お互いが本音を言わないし、言えない。
わたしにはその様子が、ものすごく他人行儀に映った。

 

根底には相手のことを想い合う”愛情”があるはずなのに。
どうして家の中で、こんなに気を遣ってしまうんだろう。

 

親子関係ではなく、祖母と孫の絶妙に近くて遠い距離を見せつけられ、思わず「自分はどうだ?」と問いたくなる漫画だった。

ぐさぐさっ!と、心の中の思い出したくない闇を刺しまくってくる。

 

わたしの家族とお弁当の話

 

話は戻るが、中高生時代、私はお弁当持参の学校だった。
同じマンションの6階で一人暮らしする母が、お弁当だけは毎朝、3階にある祖母と私の部屋まで届けてくれていた。

 

でも2回に1回ぐらい、届けに来ない。大体二日酔いでダウンしていた。

 

そんなとき祖母は

「ほんまあいつは薄情な奴やわ!母親らしいことも全然せんと!ばあちゃんがお弁当作ったろか?」

と言ってくれた。



朝で眠いし、唯一の”母親らしい”ことを放棄する母にもイライラしていた私は、結構な頻度でこう言っていた。

 

「いやや!ばあちゃんの弁当、全体的に茶色いしやたら米多いし!購買かコンビニで買うからいらん!」

 

すると祖母は、ちょっとだけ悲しい声で怒りながら「茶色いて…おいしいやんか!もう!」と言って「これ持っていき」と、500円玉をくれた。

私はその500円のうち、390円でパンとジュースを買い、残りのお金で漫画を買っていたクズだった。

 

今思うと、本当にひどいことばかり言っていた。

 

そのほかにも、学校に行かずごろごろと家でさぼっていたら

「お弁当に入れた白米がめっちゃ腐ってた」という理由で母が学校に電話し、「お宅の娘さん学校来てませんけど!?」と教師に言われ、

えげつなく怒られたエピソードなども多々ある。

 

 

このように『良い祖母と孫の話』を読んだ時、お弁当を捨てるまではいかないにしろ、どんな家庭でも少なからず思春期のお弁当問題はあるのでは?と思ったりした。

 

そして、過去の自分を振り返って、なんであのときあんなことを言ったんだろうと後悔した。

小さくなった祖母の背中を見て、もっと素直に「ありがとう」とか「ごめんね」とかを伝えて、おそらく20年もなさそうな残りの時間を一緒に笑って過ごしたい、とか思ったりする。

 

祖母がいなくなってからでは、遅いのだ。

 

『良い祖母と孫の話』は、そんなことを思わせてくれたとても大切な漫画なので、ぜひ一度読んでみてほしい。

単行本一巻読みきりなので、読みやすいですよ!

 

 

良い祖母と孫の話 (エッジスタコミックス)
著者:加藤 片
出版社:小学館クリエイティブ
販売日:2016-09-10

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