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こんにちは、小柳かおりです。

今月は益田ミリ先生著『マリコ、うまくいくよ』をご紹介します。

 

マリコ、うまくいくよ
著者:益田ミリ
出版社:新潮社

 

 

三人のマリコ ~いつかのあの人、いつかのわたし~

 

この物語には同じ企業に勤める三人のマリコが登場し、それぞれの視点から「働くとは何か」が描かれています。

社会人2年目(新人)のマリコ、12年目(中堅)のマリコ、20年目(ベテラン)のマリコ。

 

 

新人のマリコは仕事ができない自分に悩みます。

 

いつも会議で発言できない自分、心の中では一歩先行く同期を気にしながらも、何事もないように楽しく毎日を過ごす自分、ファッション誌のバリキャリOLと同じ格好をしてみて外見を整え、“形”から仕事ができるようになろうとする自分。

 

(新卒で大企業に勤めた私にとっても、)どれも身に覚えがある新人時代のエピソードが並びます。

 

 

そして12年目のマリコは、それなりに仕事ができるようになっています。

若手とも言われなくなってきた、それなりに会社という社会を要領よく渡っていく能力を身に着けた存在。

 

「中堅」に足を踏み入れ、新人の教育も担当し、でも10年後の自分をまだ探し、自分の可能性を信じている存在。

マリコは20年目のマリコを見て、「あんな風になるのかな」「あんな風にはなりたくない」そんなことを日々感じながら過ごしています。

 

 

20年目のマリコはまさにベテラン。新人のマリコを教育し、上司ともうまくやっていき、面倒な仕事でも卒なくこなしていきます。

それでも20年頑張った先に、同期(男性)に追い越され、どこかで出世をあきらめ、淡々と平穏な日々を過ごしています。

 

出世をあきらめつつも、男性社会で抜きんでた女性と自分を比較して、でもそこで感じる劣等感や何かは見ないようにして、ただただため息をついて、ただただ笑顔で過ごしています。

 

 

わたしには20年目のマリコが、少し哀れにも頼もしくも映りました。

 

「女性活用」「働き方改革」が進行しているとはいえ、実際のところ働き続けている女性が少ないのも事実。

特に男性と同等となればなおさら。

 

20年目のマリコの想いは、女性が、特に大企業に長年勤める女性が感じている想いなのではないかと深く共感しました。

 

 

先の見える安定感と会社という世界の閉塞感

 

わたしは社会人歴でいうと12年目のマリコと近く、大企業時代に感じていたこととマリコの想いがまさにドンピシャでした。

 

そこそこ仕事ができるようになると、会社という世界における自分の“周り”が見え始め、近くの先輩を見て将来の自分を予測する。

(何事もなければ)60歳まで続くであろうそのレールに乗って、“予測可能な世界”の広がりとその限界を知る。

 

 

結果的にわたしの場合はつまらないと感じて会社を辞めるに至りましたが、なりたい自分と先が見える自分の狭間にいるのが12年目のマリコで、彼女には同世代(30台前半)の方が共感するのではないかと思いました。

 

 

「わたしなら、こうする」

 

読みながらマリコたちに共感し、気づけばマリコを応援している自分がいました。

 

この作品は多くの会社勤めの人が感じる悩みや想いを表現した作品だと思いますが、決して悩みの“答え”を提示していません。

ただ平坦なマリコたちの毎日が続いていきます。

 

それでも読みながら考えるのです。

 

“マリコよ、閉塞感を感じて、その先あなたはどうする?”

“マリコに投影した自分よ、この先あなたはどんな働き方をする?”

 

そんな問いを投げかけている作品でした。

 

 

一つの「企業」という小さな世界から抜け出すも、飛び越えるも、安定を取るも、自分次第。

どれも正解で間違いなんて一つもない。

 

もし働くことに悩んでいるようでしたら、客観的な頭の整理に、本作はいかがでしょうか。

 

 

マリコ、うまくいくよ
著者:益田ミリ
出版社:新潮社

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