TOP > マンガ新聞レビュー部 > 眼鏡フェチには天国!ヒロインには地獄!?——『クラ...

数少ない友人が言った。

 

「裸眼って……なんかエッチだよね」

 

意味がわからない。

 

「……もしかして、“裸”ってついてるから?」

 

彼はブンブンと首を縦に振る。

 

「だって“裸”なんだよ。“裸”! 理科の授業で“裸子植物”って習ったときやばかったよね」

 

とても大学生の発言とは思えないが「丸茂は眼鏡フェチじゃん」と彼は続ける。
だから何だと言うのか。

 

眼鏡にフェティッシュを感じる肝はそこだと思うんだよ。眼鏡が存在する前はみんな裸眼だったから、そも裸眼なんて言葉も認識もなかったはず。被子植物があるから、裸子植物なんて単語が生まれる。眼鏡がかけられることで“眼球が裸である”という認識が生まれたんだよ。丸茂は眼球が眼鏡というヴェールに覆われることで生じる奥ゆかしさ、慎ましさ、さらに眼鏡の奥に生じた“裸”という概念に興奮しているわけ」

 

たしかに、ふだん眼鏡をかけてるひとが眼鏡を外したとき。
逆にふだん裸眼のひとが眼鏡をかけたとき、僕はなんかとてもいいものだと思う。
今はわりと有名な会社で働いている彼の論理は、わりと一理あるかもしれないのだった。

 

ともあれ、眼鏡フェチの僕としては『クラスメートは全員メガネ?』なんてタイトルを見たら読まずにはいられない。
なにその理想郷!?

 

けれど、この作品のヒロインにとっては、むしろ地獄だったようで——

 

クラスメートは全員メガネ?(1) (ガンガンコミックスONLINE)
無料試し読み
著者:丸美甘
出版社:スクウェア・エニックス
販売日:2016-04-22

ヒロインは眼鏡恐怖症!?

中学3年生の春、山本ひなたは初恋の相手に告白し——

 

は? おまえ
鏡 見たことある?

 

ブスメガネ(笑)

と、こっぴどくフラれてしまう。
しかも学校中に言いふらされ、「ユリコ メガネしたんだってー」と学内で「メガネ」が「フラれる」の隠語として流通する始末!

 

やがて脱眼鏡した彼女。
高校に進学し、新生活に胸を高鳴らせていたけれど——なんという偶然だろうか。
新しいひなたのクラスメートたちは全員メガネだった!

 

右を見ても眼鏡!
左を見ても眼鏡!

さらに先生すら眼鏡!

 

その光景に彼女は失神してしまう……ひなたはトラウマから眼鏡恐怖症になっていた。

気になる眼鏡男子は裸眼恐怖症!?

保健室でひなたが目を覚ますと、そばには彼女を保健室へと運んだ眼鏡男子が。
「眼鏡ーー!!!」と悲鳴をあげるひなただけど、「裸眼!!!」と彼も悲鳴をあげる。

 

彼=岡田颯太は裸眼のいじめっ子たちにいじめられたトラウマによる、裸眼恐怖症だった!
同類の発見に喜ぶふたりだが、

まさか自分に似た
症例がこんな近くに
ウッ…裸眼

 

ウワアアア
名状しがたき
眼鏡のようなものが
間近に

と顔を見合わせるだけで、両者トラウマに襲われてしまう。

 

こうして秘密を共有したことから、協力して恐怖症克服を目指そうとするふたり。
だけど、お互いの顔も見れないのに……君たちどうするの?

眼鏡を外してもムリ!?

クラス委員長に抜擢された岡田くんは寡黙系イケメン。
眼鏡だらけのクラスで苦しんでるひなたを、トラウマに襲われながらも助けようとしてくれる優しい彼に、彼女は惹かれはじめ……。

 

一方で世界には眼鏡のひとより、裸眼のひとのほうが多いわけです。
他クラスの裸眼生徒だらけの委員長会議で苦しむ岡田くんも、副委員長に立候補して彼をフォローしようと奮迅するひなたのことが気になりはじめ……ラブコメの波動を感じる

 

四面眼鏡な青春コメディのこの作品は、デフォルメ顔が多彩。
ワイド4コマ形式で描かれるためオチになることの多いひなたの表情は、ヒロインにもかかわらず乙女とは思えないギャグ顔に千変万化する、読みどころのひとつです。

 

はてさて、時間が経てどもお互いの顔を見続けられないふたりに急展開が。
放課後教室に閉じ込められ(あるよね!)、ひなたは眼鏡(岡田くん)と一晩一緒かもというストレスから昏倒寸前に!?
岡田くんはひなたの恐怖心を和らげるため眼鏡を外したけれど——

岡田くんが眼鏡を
外したら普通に
話せるだろうと
思っていた時期が

 

私にも
ありました…

 

岡田くんの顔が
ダイレクトに…
どっちもムリ!!

ひなたは失神。
裸眼の岡田くんがイケメンすぎて……失神。
もうどうすればいいのやら。

色眼鏡なく見るために

古びたイメージかもしれないけれど、眼鏡キャラは根暗で冴えないという印象があると思う。

 

未だにそのイメージに寄りかかったコンタクトレンズのCMを見かける。
陰キャの僕が眼鏡のひとに親近感を抱くのも、偏見ながらそのイメージがあるからかもしれない。

 

ふたりが恐怖症を克服することは、そのイメージを克服すること。


ひなたと岡田くんはまさに眼鏡の悪意的なイメージの被害者なのだけど、ひなたが脱眼鏡してもトラウマを抱えたままなのは、きっとひなた自身がそのイメージに染まっているからなのだ。

 

ふたりは色眼鏡なくお互いを、眼鏡/裸眼を直視することができるのか?
丸美甘さん『クラスメートは全員メガネ?』が描く眼鏡だらけの青春、眼鏡好きでもそうでなくてもご堪能あれ。

全3巻なので、手ものばしやすいかと。

 

文=マルモ(星海社)

 

クラスメートは全員メガネ?(3)(完) (ガンガンコミックスONLINE)
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著者:丸美甘
出版社:スクウェア・エニックス
販売日:2016-11-22

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