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あなたは「山科ティナ」をご存知ですか?

 

山科さんは、Twitterのフォロワーは55,000人

Instagramのフォロワーは41,000人を超え、

SNSやWEBを中心に活躍する現役東京藝大生のマンガ家・イラストレーターです。

 

代表作はこれまでに、

 

Twitterで様々な男女の胸キュン♥シチュエーションを描いた漫画『#140字のロマンス』

 

アプリ「LINE」とのコラボ企画広告漫画

『プレゼント・ハラスメント!』『グッバイ・プレイリスト』

 

などがあります。


 

なかでも、”新世代マンガ家” と呼ばれる彼女が自身のTwitterで発表していた『#アルファベット乳』は、大きな話題を呼び、男女問わず多くの人に読まれました。

 

 

現役東京藝大生でSNSのフォロワーも多く、在学中に何冊も単行本を刊行し、大手IT企業ともお仕事をされている山科さんは、一見とてつもなくアグレッシブで、キラキラと輝いています。

 

この記事を書く私も同年代の女性ですが、とても年下とは思えない活躍ぶりの彼女を ”神から愛された才能の持ち主” だと感じていました。


 

しかし、そんな山科さんの印象を大きく覆す作品が、2018年10月18日に発売されました。

 

#アルファベット乳の、オモテとウラ。

#アルファベット乳の、オモテとウラ。

 

話題作『#アルファベット乳』に加え、裏話である『#アルファベット乳の言えなかった話』を収録した、山科さんのエッセイ漫画です。

 

 

インタビューを申し込んだ、今年8月。

彼女は事前に『#アルファベット乳の言えなかった話』を描いたときのメモを共有してくれました。

 

 

本音が描かれたマンガが好きだった。

高校生の頃、一度だけ本音をさらけ出したような漫画(ネーム)を描いたことがある。

けれど、それを当時仲良くしていた友人に見せたら、次の日からその子が目を合わせてくれなくなった。
別にその子を責めるようなことを描いたわけではない、けれど、本音を描くと目を背けられるんだと思った。
ショックだった。

本音が描かれた漫画が好きなのに、
自分で描くことが怖くなった。


「アルファベット乳の言えなかった話。」


勇気を振り絞った。
自分が本当に描きたいものを描くためには、いままでの妄想胸キュンではなく、
限りなく現実に近い話を一度描いてみることが必要なんじゃないかと思った。

17歳のあの日に戻ったような気持ちになり、公開するのが怖かった。


久しぶりに通知を見るのも怖かった。
けれど、思いのほか受け入れられた。
いままで興味を持ってくれないような人が声をかけてくれた、
新しく応援してくれる人や新しい友達ができた。

ライバルとの関係性が変わった。
本物の絆になった。
作品を通してようやくできるコミュニケーションがあるんだと知った。


2度インターネットに救われた。


山科

 

 

そのメモに書かれていたのは、他人に自分を晒すことへの恐怖。

本作を通して得た、かけがえのないもの。

 

思わず息をのむほどの「本音」が、そこにはありました。
 

なぜ #アル乳 を描こうと思ったのか。

なぜ裏話であるエッセイ漫画を発表しようと思ったのか。

同年代のライバル・ハヤカワ五味さんや、初めて本作で語られた黒幕・Oさんへの想い。

今の山科ティナが考えていること、目指すものはなにか。

 

本記事では、気になった質問すべてをぶつけてきたインタビュー内容をお伝えしたいと思います!

 

『#アルファベット乳の、オモテとウラ。』刊行記念インタビュー

 

平日の昼下がり、上野の某会議室にて。

 

――インタビューを引き受けてくださり、ありがとうございます。今日は大学の授業日でしょうか?

 

山科 こちらこそよろしくお願いします。そうですね、このあとに授業があります。

 

――現役東京藝大生と伺っていたので質問したいのですが、普段大学ではどういった授業を受けてらっしゃるんですか?漫画とはあまり関係なさそうですよね。

 

山科 漫画は全然関係ないですね。デザイン科なので平面や立体のデザイン課題が出て、こなしています。他には、専門的なもので言うと映像論とか。

 

――映像!実は私も美大出身なので懐かしいです。モノクロ時代の映像を観て分析したりとか、映画を作ったりとかでしょうか。

 

山科 そういうのもありますね。広告ディレクターの教授が、その道で有名なゲストを呼んで対談してくれる、みたいな授業もあったりします。

あとは3DCGの授業もあったりして、いつか漫画にも応用できそうだなと思ったりもしてます。

 

――授業から刺激をもらえそうですね!楽しそうでうらやましいです。

 

山科 ただの座学とかは中々漫画のネタにはならないんですけど、友達たちと関わるグループワークは人間関係がすごく面白かったりするので楽しいです(笑)


 

作品のテーマについて

 

――本作にも大学での様子や、ご友人も出てきますよね。今回インタビューをするにあたって、事前に漫画を拝見しました。

作中でも触れられていましたが、改めてこの作品を描こうと思ったきっかけを聞いてもいいですか?

 

山科 この作品を描こうと思ったきっかけは、2段階あります。最初のきっかけは、私がすごくお世話になったOさんへの感謝の気持ちを漫画にして伝えたい、という想いです。

 

――作中でも登場される方ですね。

 

山科 Oさんがいたから今の山科ティナが始まった、ぐらいに感じています。

もともと『#アルファベット乳の言えなかった話』は、自分のブログで1、2話まで載せたんですけど、その時点ではその先の展開のことを考えずに勢いで描いていました。

読者からはそこで結構反響をいただいて、感想もたくさんいただきました。

 

――たしかに、第1話から東京藝術大学の受験に落ちた「挫折」の部分が書かれていて、山科さんにこんな過去があったのか!と衝撃的でした。

単行本でも、冒頭の引きがとにかく強くて「何があったんだろう」って続きを読みたくなりましたね。

単行本冒頭の意味深なモノローグ
©山科ティナ/太田出版

 

山科 この作品はどん底から上がってくる話にしたかったので、受験失敗の部分から描き始めました。

途中でライバルも出てくるんですけど、基本的には私とOさんの話をメインに考えていたので、後半も2人の話に寄せる気でした。その段階では、多分今の話の展開にはなってなかったと思います。

 

山科 でもOさんにネームを見せた時に「僕との話じゃなくて、山科ティナの話が読みたい」って言ってくれて。

最終的に、今描きたい ”同世代の人が最終的に前向きになれるような話” …私自身の話になりました。ライバルの存在と、私を支えてくれた大人的な存在の3人の話です。

 

――漫画のネームまで…!

 

山科 ネームだったかな。作中に出てくるので、確認のために読んでいただきました。

 

――Oさんのその言葉がないと、今の『#アルファベット乳の、オモテとウラ。』にはならなかったんですね。的確なアドバイスです。

 

山科 不思議な編集力がある方ですよね(笑)プロの編集者でもないと、ネームを読んでもあまり強く言えないこともあると思うんですけど、Oさんは率直に言ってくれる方だったので、自分のなかでも印象的でした。

 

山科 そういった経緯があって、最初はOさんとの話を考えていたんですけど、とらわれる必要もないなと思って。そこからは、この作品を読者に向けてどういう風に描いていこうか、をベースに考え始めました。

単行本化が決まった以降は太田出版の担当さんとともに、より初見の方やアルファベット乳を知らない方にも伝わりやすいように構成していきました。


 

この漫画との出会いが、値段以上の価値になってほしい

 

――この作品を描いている時、苦しかったりつらかった部分はありますか?

 

山科 そうですね。鬱屈した気持ちの部分は、当時を思い出して描いてたんですけど、服装とかもいちいち覚えているんですよね(笑)

たとえば1話の、東京藝術大学の合格発表のシーンとか。

 

©山科ティナ/太田出版
©山科ティナ/太田出版

 

山科 合格した人は、受験番号が校門前の大看板に貼り出されるんですけど、朝の9時前にはいっぱい人が集まってて。私も合格発表までの3日間すごい張りつめていたので、居ても立ってもいられなくて…。

そのときの服装は、全身真っ黒でした。受かって欲しいけど、心の底にある不安が服装に現れていたんだと思います。

 

――服装まで覚えているほど、強く記憶に残る1日だったんですね。

 

山科   でも、やっぱりこの漫画を描いている時は全体的に苦しかったですね。

普段は胸キュン漫画を描いているのもあって、180度気持ちを入れ替えなければいけないし、他のことを同時進行したりとかはできませんでした。

 

――執筆作業中はどんな感じなんですか?

 

山科 今思えば、全体的に気持ちを沈めて描いてました。当時よく聴いていたしんみり系の曲を流したり。描きながら泣いてる時もありました。

ブログで連載していた時も、最終話の方になると気持ち的にはだいぶつらいんですけど、本当のことを描かなきゃいけない、みたいな気持ちがあふれてきて。

 

――インタビュー前に事前にいただいたメモのなかに「公開するのが怖かった」「通知を見るのも怖かった」とありましたが、実際の反応のなかで印象に残っているものはありますか?

 

山科   同じ美大出身で頑張っている友達に「目を背けたくなる部分が多くて、読むのが辛い。でも、すごい好き」って言われましたね。

たしかに悩んだりしている最中にこの漫画を読んだら、だいぶつらいかもしれないって部分はあるな、と。自分でもなかなか読み返すことがしんどいです(笑)

 

――今回のあとがきで「いつも、ハッピーエンドを描こうと決めている。」と書かれていましたが、事実山科さんもハッピーエンドを迎えることができたんですか?

 

山科 まだまだこれからというところですが、気持ち的にはだいぶ前向きになれました。

 

――山科さんご自身も、漫画を読むときに求めているものはハッピーエンドなんでしょうか。

 

山科 そうですね。現実では、あまりうまくいかないことも多いというか…(自分の力で)変えられることもあれば、どうしても変えられないこともあります。

でも、自分が読者だった時になにか背中を押してくれるようなものに出会えたら、その出会いには漫画の値段以上の価値があると私は思っていて。

読者にとっての、そんな一冊を目指していきたいっていうのはありますね。

 

――『#アルファベット乳の、オモテとウラ。』は、個人的な意見ですがまさにそんな感じの作品だと思います。創作話とかだと、物語が綺麗な起承転結で終わっていることも多いですが、この漫画は山科さんの人生そのものなので、予想していないところで浮き沈みがあったりして。

 

――だからこそリアルで、共感できる部分も多くて。単なる「読んだら元気になれる作品」で終わらない物語だと思いました。

つらい時、悩んでいる時に読むと「自分だけじゃないんだ」ってすごく救われると言うか、読者に寄り添ってくれます。

 

山科 嬉しいです。たしかにつらいシーンの時って、逆に「自分だけじゃないんだ」って思えることもあって救われたりしますよね。


 

新たなステージへの第一歩

 

――それでは、描いていて楽しかったシーンやエピソードはありますか?

 

山科 Oさんと出会って『#アルファベット乳』を作り上げていくシーンはノリノリで描いていました。

 

©山科ティナ/太田出版
©山科ティナ/太田出版

 

山科 でも変な話ですけど、全体的につらいこの作品を描き上げていくのが楽しみでもありました。これまでずっとハッピー全開の胸キュンストーリーを2年ぐらい描き続けていたので、自分の中で漫画の描き方がパターン化していた部分があったんですよね。

 

――パターン化…たしかに、今までは私も山科さんといえばキラキラした胸キュン漫画を描かれているイメージが強かったです。

 

山科 そうなってくると漫画を描く楽しさを忘れてくることもあって、今までとは真逆のモノを描きたい、みたいな感情が湧いてきたりしました。だからこそつらいものを描くことが逆に楽しくなっていきました。

 

――正直な話をすると、今回のエッセイ漫画を読んで作風の変化にも驚いたのですが、山科さん自身の印象もがらっと変わりました!

本当に失礼な話なんですけど、これまでは勝手にキラキラしていて眩しい遠い存在に感じていたのが「あの山科さんにも劣等感とか葛藤があったんだ!?」という驚きとともに、一気に身近に感じたといいますか…。

 

山科 そうなんですね(笑)


 

学生期間について

 

――山科さんが、ここまで頑張ろうと思ったきっかけや、同年代のハヤカワ五味さんを強く意識するようになったきっかけは、東京藝術大学に落ちた時に描かれた「後悔させてやる」という気持ちではないか、と思います。

©山科ティナ/太田出版

 

――もし浪人せずに、ストレートで東京藝術大学に受かっていたらどうなっていたと思いますか?

 

山科 私も時々考えるんですけど、そうなっていたら多分今のようにはなってなかったですね。

負のエネルギーってすごく強いので、ストレートで入っていたら気持ちが落ち着いてしまって、今のようなガッツは培われてなかったと思います。

 

――負のエネルギー…たしかに芸術系の大学だと、自分のセンスや才能に対してもやるせない気持ちなどが芽生えてきそうです。

 

山科 ハヤカワさんへの意識は、作中でも触れましたが東京藝術大学の浪人中からすでに芽生えていました。というのも、彼女とは大学に入る前から同じコンクールに参加していた同期で、同じ大学志望だったんです。

 

山科 でも、彼女が先に多摩美術大学に入って、SNSでバズってるのを見ていて…同期だった人と自分との間に、こんなに差が生まれてるんだっていう感覚があったので強く意識していましたね。

 

――私の大学にも昔、ハヤカワ五味さんがゲスト講師に来ていたことがありました。

「年下なのに、もう自分でブランドを立ち上げて起業したすごい人がいる!」と、衝撃を受けたのを覚えています。

 

©山科ティナ/太田出版
©山科ティナ/太田出版

 

――山科さんにとっての、学生期間とはどのようなものですか?

たとえば学生のうちにやっておいた方がいいと思うことなど、あれば教えてください。

 

山科 そうですね、中学までは基礎的な勉強はやっぱり大事だなって思ってました。

高校に入ると自分の向き不向きがわかってきたりして、どの大学へ進学するかや将来への決断も重要になってくる時期なので、そこ(向き不向き)から考えるっていうのも大事だと思います。

 

――すごくロジカルな考え方ですね。

 

山科 私の場合は、自分のやりたい仕事を性格面から考えていたときに、もちろん漫画好きだということも前提にあったんですけど、大組織のような会社は向いてないだろうなって学生時代から思ってました。

 

山科 「自分はどうしたら生きやすいか」とか「自分が楽しく幸せに生きるのに必要な要素はなにか」を、自分の性格と照らし合わせて、学生時代から考えていくことが重要だと思います。

 

――たしかに、好きなものを優先することよりも、自分の性格ベースで考えたほうが将来的に長続きしたり、仕事を楽しめたりしそうです。

 

山科 学生期間は(将来の選択のためにも)まずは自分の性格ベースを知っていくことが大事だと思います。


 

何者かになりたい人に、手にとってほしい

 

――作中で「人の価値とは何か」と自問するシーンがあったと思います。本作を描き終えて、山科さんの中で答えは出ましたか?

 

山科 この話を描いていたときは、社会のピラミッド構造にものすごくとらわれていたので、人の価値とかに上下をつけてしまいがちでした。

 

©山科ティナ/太田出版
©山科ティナ/太田出版

 

山科 今は価値は誰にでもあると思っています。たとえ落ちている時でも、その人が自分自身で輝ける瞬間を見つければ上がっていけますし、一見マイナスだと思える性格でも、一種の個性じゃないかなと思います。

 

山科 知り合いの作家さんの中でも、自分のネガティブさを嘆く人もいますが、それがかえって共感を呼んだりしますしね。人の価値は、それぞれ違う形でその人の中に存在しているんじゃないでしょうか。

 

――なんだか元気が出ました(笑)

この作品を、どんな人に読んでほしいですか?

 

山科   やっぱり、もがいたり悩んでいる人というか、作中に出てくる自分の境遇に近い人に読んでもらいたいですね。

 

山科   逆にそういった時期が過去にあった人でも、読んだら何か思い出して変わるかもしれないので――…平たく言うと、何者かになりたい人に読んでほしいです。

 

――私もたくさんの人に読んでいただきたいと思います。

 

――最後に、山科さんが次に挑戦してみたいことや、一緒にお仕事してみたい人はいますか?

 

山科   今は有名な人と仕事するとかはあまり考えていなくて、長編漫画を描いてみたいです。

 

――読んでみたいです!どんなジャンルで挑戦されるのか、ものすごく興味があります。

 

山科 長編漫画を描くってなると、一緒にお仕事する相手は担当編集さんだと思うんですけど、自分と好きな漫画が合う人や、方向性の近い人、あとは私が好きな漫画を担当されていた方とお仕事がしてみたいですね。

 

山科 一緒に漫画を作っていくうえで、信頼できる人と仕事して、もっと良いモノを作っていきたいなと思っています。

 

――次回作もとても楽しみにしています!本日はありがとうございました。

 

 



 

インタビューが終わったあとで、山科さんが最近読んで心に刺さった漫画を聞くと『凪のお暇』『聲の形』とのことでした。

 

話を聞いている最中も、一言一言真摯に考えて答えてくださった山科さん。

彼女が語ってくれた想いや、考え方は一本の芯が通っていて、意志の強さを感じました。

 

今回刊行された『#アルファベット乳の、オモテとウラ。』は、「山科ティナ」の裏側や、本音を知ることができる一冊となっています。

 

成功しているように見えても、その裏側ではたゆみない努力と多くの挫折を味わってきた彼女が「財産」だと語る軌跡を、ぜひ手に取って読んでみてください。

 

(文:駒村 悠貴


 

#アルファベット乳の、オモテとウラ。
著者:山科ティナ
出版社:太田出版
販売日:2018-10-18

 

グッバイ、プレイリスト。 -山科ティナ短編集-
著者:山科ティナ
出版社:ナンバーナイン
販売日:2018-06-26

 

#140字のロマンス (フィールコミックス)
無料試し読み
著者:山科 ティナ
出版社:祥伝社
販売日:2017-04-08

 

 

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