TOP > マンガ新聞レビュー部 > 童貞エネルギー10秒チャージ。ニヤニヤが止まらない...

初めての彼女ができた童貞ほど微笑ましい存在もありません。

下の名前で呼びあうことに憧れちゃったり、手をつなごうと策を弄しちゃったり、女友達と雑談するだけで罪悪感を覚えちゃったり。 

 

いずれ日常になる様々も、最初は全部が初体験。初めてはいつもドキドキです。
それは男の子なら誰もが一度は通ってきた道なのではないでしょうか。

 

『謎の彼女X』は、今やそんなことをすっかり忘れて、デートと聞けば「東京カレンダー」で広尾の隠れ家レストランを検索すればいいと思っている男性諸君に、童貞エネルギーをリチャージしてくれる青春プレイバックなマンガです。

 

謎の彼女X(1) (アフタヌーンコミックス)
著者:植芝理一
出版社:講談社
販売日:2012-09-28

優れたフィクションが思い出させてくれる、童貞だったあの頃。

優れたフィクションとは、大きなウソを一つだけついて、残りのディティールに徹底的にこだわっているものです。

 

たとえば映画『シン・ゴジラ』にはゴジラという“大きなウソ”がありますが、登場人物の言動や舞台はリアリティを徹底的に追求しています。

だからこそ僕らはスクリーンの中のゴジラがいる世界を他人事だと思えず、熱狂してしまうのです。

“現実 対 虚構”というキャッチコピーは、それを端的に表現していて素敵です) 

 

 

『謎の彼女X』も同様に、大きなウソを細緻なリアリティで見事に包んだフィクションです。

この作品の大きなウソは、“謎の彼女”卜部美琴さん(処女)が持つ、「よだれで気持ちを交換できる」という特殊能力です。

 

対照的に、舞台となる高校や彼氏の椿明くん(童貞)、クラスメイトの言動は徹底にリアルです。

誰もがこんな高校に通っていた気がするし、こんなクラスメイトと青春を過ごした気がすることでしょう。

童貞だったあの頃を、思い出してしまうことでしょう。

 

(C)植芝理一/講談社
(C)植芝理一/講談社
(C)植芝理一/講談社

童貞的に理想的な恋愛ファンタジー

卜部さんが持つ「よだれで気持ちを交換できる」という能力は、童貞的に理想的な恋愛を象徴しています。

 

現代は、気持ちを通わせるためにテキストや音声が使い放題です。それだけに、それだけで通じ合った気になってしまうのもまた現代です。

でもそんな現代(2006~2014年)の作品である『謎の彼女X』には、PCも携帯電話も登場しません。 卜部さんと椿くんのお付き合いは、校内でも放課後でも休日でも、いつも対面で行われます。

 

それは、ふたりの絆が「よだれ」だからです。

 

言葉は会わなくても交わせるけれど、「よだれ」は会わなきゃ交わせません。

それが一番に気持ちを伝えられる方法に位置づけられている本作は、童貞の感性を見事に象徴していると言えます。好きな子に会うことそのものに喜びを感じ、思い通りにならないモヤモヤに一喜一憂。

 

『謎の彼女X』は、そんな童貞的に理想的な恋愛を描いたファンタジーなのです。

 

かつてはあなたもそうだったはずです。

目の前の女の子に、真摯であろうとするあまりに恥ずかしい言動をしてしまったことが、一度はあるはずです。

 

そんな微笑ましい空回りの源だった童貞エネルギー。

この作品で、もう一度チャージしてみませんか?

 

謎の彼女X(1) (アフタヌーンコミックス)
著者:植芝理一
出版社:講談社
販売日:2012-09-28

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