TOP > マンガ新聞レビュー部 > シリアスとギャグのバランスが絶妙な『銀魂』面白さと...

週刊少年ジャンプで『ONE PIECE』(OP)に次ぐ連載期間の長さを誇っていた『銀魂』が、とうとう週刊少年ジャンプでの連載を「終えました」。
 
幅広い漫画を読んできた私にとって、シリアスな物語と子どもが楽しめるギャグ、風刺にパロディと、漫画がこれまで描いてきたものがつまった絶妙なバランスの作品だと思っています。
なにがすごいかをまとめると同時に、OPほどではないですが、長編をこれから攻略するにはどうすればいいかをまとめてみました。
 
週刊少年ジャンプ(42) 2018年 10/1 号 [雑誌]
製造者:#manufacturer
販売日:2018-09-15
 
 
 
拝啓 空知英秋先生
 
 このたびは、2004年から18年にわたる週刊少年ジャンプでの銀塊の連載、本当にありがとうございました。
 
 現実の江戸から明治のように、外国人ならぬ天人(宇宙人)が来襲し、大きく価値観が変わって天人に支配されてしまった、江戸。その町で、筋の通った生き方をするサムライ、坂田銀時と彼を取り巻く人々の生き様を描くーー歴史モノ+SFモノという私が好きな2大ジャンルがくっついた作品ということで、好きにならないわけがありませんでしたが、ここまで楽しめるとは思っておりませんでした。まさか最初、掲載順位が低かったとはだれも思わないでしょう。
 
 
 週刊誌の連載から始まり、単行本、ノベライズ、アニメ映画、両国国技館でのイベント、原画展に実写映画、佐賀県とコラボとマルチに活躍され、着実に銀魂世界が広がっていくことを、ただただ楽しませていただきました。
 
 マンガで一般に発売されているエピソードが、テレビという公共の電波では許されないことがあり外部からクレームが付く、公共の電波では放送しにくいエピソードがあるということも、この作品で初めて知りました。
 
 
 私は銀魂を「好きな作品」のなかでも「面白い、マンガとしての完成度の高い作品」と位置付けてます。それは以下のような理由があります。
 
 マンガという表現は、もともと子どものためのものでした。それが、長い歴史と業界の人の力で、大人を含め国内外で幅広い読者を獲得し、いまでは「大人がマンガを読む」ことを表立って否定されることはありません。
 
 カバーするテーマも幅広く、多くのマンガを読んでいるだけで、古今東西さまざまな問題を学び、またとがった考えを得るきっかけになります。私自身も受験勉強でお世話になった歴史や理科の学習マンガもそのひとつでしょう。
 
 
 それでも私はマンガが娯楽のためにあるということを忘れたくありません。どんなに難しいテーマを扱うようになっても、根本にはつらい現実に耐えられなくなったとき、その現実を笑い飛ばし、またあしたも生きていこうと思わせる役割があると思うからです。
 
 その点で銀魂は、どんなにシリアスなメッセージを伝えようと、キャラクターたちがつらい立場に置かれようと、シリアスさやつらさを笑いの力で消化するということを忘れていなかったと思います。ただ、シリアスな展開をどきどきしながら読んでいたときに、次のページでギャグが襲ってくると、ページを飛ばしていなかったかを確認してしまいましたが。
 
 
 時事ネタを取り入れながら、社会に対する風刺のメッセージも読み応えがありました。何の問題意識もなければそのままギャグ漫画として読めるところを、問題意識を持っている人には強くアピールする。それぞれがそれぞれに楽しめる作りになっていました。不意にはいってくるパロディもそのひとつでしょう。
 
 もちろんギャグ色が強くなる回も多くありました。そこにパロディが混ざることも、日常モノになることも。このギャグも幅広く、漫才のようなボケとツッコミもあれば、男子小学生向けギャグもありました。一言で品がいい/悪いということはできません。
 
 
 歴史オタクとしては、幕末から維新の変革期をモチーフにした以上、どのような物語の展開にするのか、「侵略者」に対してどこまで戦うのかはすごく気になっておりました。特に新撰組をモデルにした、真撰組の扱いです。
 
 史実のままいくならどこかで多くのキャラクターは物語から消えなければいけない。でもこれはSFだし―こんな悩みを見事に乗り越え、「もし生き残ったら」という歴史オタクにとっては禁じ手でもある「IF物語」を展開していただきました。このあたりの過程を、原画展で教えていただけたのも、うれしかったです。
 
  
 実写映画も見事でした。そもそも実写決定の先生の受け止め方から始まり、期待の高さ以上に楽しませていただきました。「映画館でこんなに笑っていいのか」と思うぐらいです。マンガが2次元で、芸能人などリアルが3次元で、舞台化されると2・5次元とよばれる今、こうした質の高い実写映画ははたしてどの次元に所属するのかを今は考えています。
 
 
 この作品はきっといろいろな方法でみなに親しまれると思います。そのひとつはマンガの作り方として、ギャグとシリアスの絶妙なバランスを知るという点。
 
  
 そして物語やキャラクターの行動の解釈論も広がるでしょう。私が一番印象的だった解釈は、キャラクターが大事にしているものから、政治思想を考えさせるものです。全体主義、新保守主義、リバタリアリズム、社民主義と難しい政治思想について、キャラクターの行動やセリフと照らし合わせることで理解を深めることができました。改めてなぜ私が銀魂が好きなのか、確信を深める機会にもなりました。
 
 
 銀魂は現実社会を理解するための補助線でもあるのです。
 
 
 改めてこのようなすばらしい作品を世に出していただいたこと、そして週刊少年ジャンプの表紙に「最終回」と書かれたにもかかわらずに終わりを迎えず、「ジャンプGIGA」を買うきっかけをいただいたことに感謝を込めて。
                                        
 
草々 いちファンより

 

銀魂 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
著者:空知英秋
出版社:集英社
販売日:2013-02-19
 
 
以上、銀魂がなぜ面白いのかをまとめてみました。ただ単行本は70巻を超え、長編作品のひとつに入ります。
「今から読むのはしんどい」という方に、タイプ別の楽しみ方を分類してみました。
 

シリアス物語が好きな方へ 紅桜編や将軍暗殺編など長編エピソードを

しっかり作り込まれ、キャラクターの意思が全面に出てくるシリアス物語が好きであれば、「●●編」と名の付く長編エピソードがオススメです。
 
映画にもなった戦艦とも戦える兵器である紅桜を巡る戦いを描く「紅桜編」。
主人公らが拠点とするかぶき町を巡る争いを描いた「かぶき町四天王編」。
将軍の暗殺を阻止しようと坂田銀時ら万事家が奔走する「将軍暗殺編」。
真撰組が江戸を追われる「さらば真撰組編」などなど。
 
マンガで読んでもアニメでみても、笑いと涙にあふれています。
 
 
普段ギャグをやっているキャラクターもここぞとばかりに全力で自分の信念を貫いて、戦いに挑みます。心に訴える印象的なセリフが生まれるのも長編です。
  
幕末をモチーフにした大きな勢力争いが続く世界ですので、信念と信念のぶつかり合い、そして無念の最期には涙するでしょう。「●●編って単行本のどこなの?」と思ったら、銀魂好きな人に聞くとすぐ答えが返ってきます。
 

ギャグが好きな人へ 単行本1冊手に取るとたいてい良いギャグ編が入っています

ギャグが好きな人、思いっきり笑いたい人は、シリアス長編エピソードの間に挟まれるギャグ編がオススメ。私は読者投票によるキャラクターランキングの結果発表後、ランキング結果を変えようとするキャラクター同士のバトルのエピソードが好きです。

 
ただ、ギャグはギャグでも週刊少年ジャンプの精神にのっとり、子どものためのギャグです。少し品がないものやモザイクがかかるものもありますのでご留意を。
 

ジェンダー論とかに興味がある人 男女逆転エピソードを

ジェンダー論に興味がある人には、男女逆転エピソードがオススメです。その名の通り、登場する主要キャラクターの性別が、男女逆転してしまうもの。こういうことができるので、SFという設定は強いと思います。
 
外見が変わっただけで、記憶も中身も全く変わらない彼らをみると、性別問わずかっこよさや潔さが見えてきます。基本はギャグ編ですが、いろいろ考えることができると思います。
 

マンガは好きではない、活字がいいという人 単行本にある作者からのお手紙はどうでしょう

「マンガは読まないのですが」という人、活字が好きという人は、単行本の各話の最後にある、作者からのお手紙を読んでいただきたいです。

実写映画化がきまったときのメッセージに代表されるように、空知先生はあるメッセージを伝えるときも、すごく言葉の選び方が絶妙です。きっとそのうちエッセイ集を出してくれると信じております。

 

本とかマンガとか面倒な人 実写映画はいかがでしょうか?

本とかマンガを読むのは面倒、アニメもみたくないーそんな人は実写映画はいかがでしょうか。贅を尽くした配役とコスプレ、さらにはアクションとCGのリミックスで、ファンの期待を超えた完成度です。
 
そしてキャラクターを演じるのは、今をときめく日本の俳優陣。
現在「銀魂2」まで公開されていますが、前作を含めてそれぞれギャグ編とシリアス長編エピソードが1~2本ずつ入っているので、銀魂の幅の広さも実感できます。
 

メガネが好きな人

映画「銀魂2」を見ましょう。メガネ男子萌えにとっての天国が広がっています。
 
 
 
銀魂―ぎんたま― 74 (ジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:空知 英秋
出版社:集英社
販売日:2018-08-03

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