TOP > マンガ新聞レビュー部 > 喧嘩上等!その行動、直線的にして無謀。忖度なんてあ...

初めて『響~小説家になる方法~』を読んだとき、何かの強い既視感を覚えた。

この漫画の主人公・女子高生 <鮎喰響-あくいひびき->に対し、このキャラなんか見たことがあると。

 

そう、しばらく考えて、ある日思い浮かべたのは2006年にアニメ化して大ヒットした『涼宮ハルヒの憂鬱』の主人公 <涼宮ハルヒ>だった。

涼宮ハルヒとは、傍若無人で、変なことに興味を持ち面白いことが大好き、唯我独尊で、思い立ったら突き進む猪突猛進の女子高生だ。そしてアニメでは、彼女が無理やりまわりを巻き込み、くり出すハチャメチャ学園SFコメディーが描かれている。

 

その主人公の<涼宮ハルヒ>と似ていると思ったのだ、この漫画の主人公<鮎喰響>が。

漫画『響~小説家になる方法~』はもちろん、先述のハチャメチャ学園SFコメディー作品ではない。

学園が舞台であることと、主人公がハチャメチャで傍若無人な点や、行動が一直線というところは似ているが、少なくともコメディーの要素はないしSFでもない。(あ、あともちろん、ハルヒにあった萌え要素もない。)

 

この漫画は。高校生活の文芸部に舞い降りた、文学界に革命を起こす天才異端児の少女の話だ。

 

あらすじ


とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。編集部員の花井は、応募条件を満たさず、ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。

封を開けると、これまで出会ったことのない革新的な内容の小説であった。作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていなかった。
編集者の花井は、その小説を読み、この作者なら文芸に革命を起こせる、文芸の力で世界を変えられる、と確信。
名前しか手掛かりがない中、響を捜し出そうとする。

そうとは知らない響は、周囲とギクシャクしながらも高校の文芸部に入部。みんなと部誌を作るため新たな小説の執筆に取りかかる。

そして、響が新人賞に投稿した小説は、それを読んだ審査員の人生観を変えてゆくのだった。

 

この漫画は、好みがわかれる画風だ。画風に関しては、見てくれればわかるだろう。
感情を表すときに、例えることができない味があるのだ。

 

だが、本当に好みが分かれるのは内容なのだ。

要約すると、才能を持ったチート主人公が、敵を蹴散らし場を荒らして圧倒的な行動力で一件落着という、昨今の流行りのラノベに通ずる部分がある内容なのだが、流行りのラノベでは味わうことのできないものを味あわせる。

 

それは、予測不能少女がもたらす”ストレス”だ。

一言で言うならば、「ムカつく」だろう。

 

正確に言うならば、響がもたらす行動や行為に至るまでの状況が、不愉快で、癪に触るのだ。

イライラとムカムカで、月に二度の連載を追って読んでいた雑誌を引きちぎりたくなる衝動に駆られるくらいに。

 

そう、強いストレスを感じるのだ、漫画を読んでいてだ(漫画って楽しい娯楽じゃないの!?)

 

主人公・響の取り巻く環境は、全然一筋縄ではいかない。だいたい響の性格が災いする。

そして、さらに読み進めると、だんだん響や、彼女をとりまく仲間と気持ちがシンクロし、彼女が何かをしでかすのではないか?という読めない展開に、気持ちが昂ぶってくる。

 

そして、響は、その揺らぐことのない信念をもとにおこす。
われわれの予想外の行動を。

 

©柳本光晴/小学館(ビッグコミックスペリオール)
©柳本光晴/小学館(ビッグコミックスペリオール)
©柳本光晴/小学館(ビッグコミックスペリオール)

 

響は、あらゆる権力にも媚びないし、その信念を曲げない。

けっして、だれも彼女を曲げられないし、そもそもブレない信念をもつ彼女の心は、曲がらないのだ。

 

あくまで信じる信義を押し通す。

けれど、一方では文学を愛する純な心をもつ、不器用ながらにめちゃくちゃ一本気な女の子なのだ。

 

だから、彼女がもたらす行動の結果は、物語をおおいに揺るすカタルシスとなり、鬱積したストレスが開放され読者の愉悦になる。

だからこそ読み終えた後、あるものは活躍に満足し溜飲を下げ、あるものは行動にしびれて憧れる、あるものは決して自分ではできない生き方に投影する。

そこに痛快ともいえる面白さを感じるのだろう。

 

無鉄砲であるが、信義を押し通す彼女に、忖度になれた社会にいる大人たちは、翻弄され、魅了され、感化され、そして完全に人生を影響される。

 

彼女は、思い通りにならない野生のライオンだ

妖しさと神々しさの輝きを放つ、そんな彼女<響>の生き方を、見てみませんか?

 

>>試し読みページ

ためし読みはこちら「響~小説家になる方法~ 1」 柳本光晴 | ビッグ コミックス | 小学館

とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。 編集部員の花井は、応募条件を満たさず、 ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。 封を開けると、これまで出会ったことのない 革新的な内容の小説であった。 作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていない・・・

shogakukan.tameshiyo.me 

 

 

 

この記事に類似する記事

▶マンガがお得に買えちゃう情報満載!

人気のコメント

新着コメント

ログインして
すべての人気のコメントを見る

ご自身のTwitter、Facebookにも同時に投稿できます。

《マンガ新聞》公式レビュアーの方はログイン
 ※新規ゲストのログイン機能は準備中となります

利用開始をもって
《利用規約》《個人情報の取扱について》
同意したものとみなします。
ログインメニューに戻る
ログインメニューに戻る
パスワードを忘れた方は
《パスワード再設定》を行って下さい。
ログインメニューに戻る