TOP > マンガ新聞レビュー部 > 【遂に完結!】『東京喰種トーキョーグール』が問い続...

絶望的な悲劇の世界で、辿り着いた場所

2011年に初めてこの作品に出会った時、そのあまりに悲劇的な内容に一瞬で心を鷲掴みにされてから7年。

遂に『東京喰種』が最終回を迎えました。

 

読んでいて、これほどまでに苦しくなる作品は本当に稀有だと思います。

読書が好きなただの平凡な少年が、淡い恋心を叶えたいという、ほんの小さな幸せを求めたただそれだけなのに、殺され、人間ではなく人間を食べる喰種(グール)に変えられてしまう。

 

人を食べなければ生きていけない化物になったという絶望。

それでもやっと手に入れた新しい仲間との穏やかな日常すら、喰種を狩る人間たちとの戦いによって壊され、奪われてしまう。

 

奪うものと奪われるもの、そのどちらにも願いや正義がある。

少年の願いは、ずっと大切な人たちのささやかな幸せや笑顔を守りたいという、ただそれだけだったんだと思うんです。

 

でも、何度も何度も奪われ、絶望させられ、守りたいと想う人が増える度に想像を絶するような悲劇は加速していく。

 

奪う行為は、等しく悪だ

我々は、産まれ落ちたその瞬間からなにかを奪い続ける

食物、かかわりあう人々、肉親からですら、生きる限り屠り、殺し、奪い続ける

『命』とは、罪を犯し続けるものの事

『命』とは、『悪そのもの』

奪われたくなければ奪うしかない

この世界はそういう風に出来ているんだ

 

こんな言葉が心に突き刺さるくらい響いてしまうほど、世界は人間にも、喰種にも、少年にもあまりにも冷たくて悲しくて、息が苦しくなる。

 

生きることって、そんなにも辛く苦しいものなんでしょうか?

 

誰も不幸になりたいと願う人なんていないはずなのに、

すぐ隣にいる人の手を取って笑いかければそれだけで幸せは繋がっていくはずなのに、

どうしてこんなにも世界は悲劇に溢れているのでしょうか?

 

この世界は歪んでいる

なにが正しいかなにが間違っているか簡単にわからなくなる

だから考え続けるんだ

お前の選択が間違っていないか

その行為だけは正しいと言える事の筈だ

 

まるでひとつ選択を誤ればゲームオーバーになってしまう、デスゲームのような世界。

それは、でもファンタジーではなく、むしろ圧倒的リアルだからこそ、僕らはこの作品にこんなにも心を惹かれてしまうんだと思います。

 

そんな『東京喰種』の最後に描かれた結末を読んだ後、僕は涙が止まらなくなりました。

 

不幸でいるのは本当はとても簡単で

幸せになるほうがずっとずっと難しい

だから

 

『生きて』

 

『生きて』

そんな言葉しか 私は言えない

 

痛みに心が張り裂けそうでも

苦しみに頬が引き攣ろうと

 

『生きて』

 

それが私の祈り それが私の願い

 

必死に生きて、戦い続け、守り続けた少年が最後に辿り着いた場所がどこなのか、どうか見届けてください。

 

 

石田スイ『東京喰種:re 16』

 

>>喰種ロス!『:re』の連載が終了した“今”こそ読もう『東京喰種トーキョーグール』

 

東京喰種トーキョーグール:re 16 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
著者:石田スイ
出版社:集英社
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