TOP > マンガ新聞レビュー部 > この愛、あなたは引く?それとも…?最高(に気持ち悪...


異性から、ゾッとする一言を言われたり、身の毛がよだつ行為をされたりした経験はありますか?

好意をあからさまに伝えるその度胸と姿勢は素晴らしいはずだけれど、どこかずれている。一方通行。そんな外れた愛情表現、たいていは拒絶され失恋となる、はず。

 

「COMICリュエル」連載中『嫌がってるキミが好き』(実業之日本社/既刊3巻)のヒロインで、通信制高校に通う白川みことちゃんもある男子を拒絶したい。したいのに。

 

「来世はみことちゃんの胎盤で胎児として生まれたい」

 

こんなに破壊力のある言葉、聞いたことがない。
気持ち悪いセリフ選手権ナンバーワンです。圧倒的優勝。
あろうことか、このセリフを吐く彼がみことちゃんの彼氏です。みことちゃんの同じクラスの大槻まことくん。

 

まことくんの言動は想像の遥か上を行き、みことちゃんと読者をゾッとさせます。
気持ち悪い、と顔を歪めれば、まことくんの思うツボ!!
みことちゃんの嫌がっている顔、拒絶反応に性的興奮を覚える彼にとって、それはご褒美でしかありません。


◆嫌なら別れればいい?

 

みことちゃん、これでもかというほど嫌がる顔を見せます。

頬を打たれたり、ゴキブリの死骸を周囲に並べられたり、ドッグフードを口に押し込まれたり、ホームレスの寝床で処女を奪われたり、首を絞められたり……。

この羅列だと首絞めがノーマルに見えるほどに嫌な目に遭う。

 

みことちゃん、もっと大切に愛でてくれる男がいるよ!と思いたいのに、そんなノーマル男子は登場しません。もう何かしらを間違えた男子しか出てきません。
例えばみことちゃんに想いを寄せるさわやか東大生・安藤秀一さんも、なかなかのサディズムを飼い殺しています。
彼のポテンシャルにも期待なのですが、とにかく、みことちゃんは性的倒錯者を惹き付ける魅力に溢れているようです。

 

みことちゃん本人に自覚はないけれど、選択肢がないのです。数少ない選択肢どれを取っても、辛い目に遭う未来しかありません。
 

◆白川みことの魅力

 

危ない男子を引き寄せる、みことちゃんの魅力はなんだろう?と考えるのですが、彼女、ほんとうに痛くて残念でおバカでかわいいんです。

 

スクールカースト上位にいるようなかわいさ・魅力が自分にあると信じて疑わない、女友達にバカにされていることに気づきもしない。
けれど、誰からも告白されず処女でいることに焦り、休みの日は特に外出もせず、高いプライドで「待ち」の姿勢を崩さず、彼氏ができたときを夢想してかわいい部屋着を買っちゃう。イケてる女子の輪に無理やり入るけれど疲れちゃう。

 

もう、なんか、虐めたくなる要素が詰まっているのがお分かりいただけるでしょうか……。

 

理想と現実のギャップに悩みながら、ポジティブに勘違いした姿を惜しげもなく披露してくれるのです。
自慢できそうなことが自分に起きたら、世界中に自慢してやりたい子なのです。

告白をされた、デートした、キスした、エッチした、幸せな愛され女子・白川みことちゃんとして世間に(と言いながら唯一の女友達だけに)盛大に自慢するツールとして、大槻まことくんはどうしても必要なのです。

 

そうやって自己肯定感を満たす滑稽な姿もまた、意地悪したくなる要素。
まことくんや秀一さんが組み伏せたくなる気持ちがわかってしまうのは私だけでしょうか。
 

◆ふつうの愛情表現ってなんだっけ

 

この作品はページをめくるたびに、「ああもう、これはもう、ひどい(褒め言葉)」ばかりが口をついて出るのですが、まことくんの言動一つ一つに、彼のみことちゃんに対する底なしの愛情を勝手に感じてしまうのです。

 

好きな人の嫌がる顔、見たいでしょうか? 「嫌よ嫌よも好きのうち」ではない、本気の拒絶。
異性からの拒絶反応は、浅からぬダメージを受けるものです。

 

しかし、まことくんは、みことちゃんの本心からの「大嫌い」がたまらなく嬉しい(むしろふつうの恋人らしくキスをねだると、殴り飛ばします)。
彼氏に不快感を覚え、嘔吐するみことちゃんを愛おしそうに見つめ興奮するまことくん。
相当に溺愛していないとこうはならないのでは? 彼の愛こそ真の愛なのでは? と思えてくる始末。

 

人とは恐ろしいもので、この作品を読んでいるとまことくんを受け入れはじめてしまって、あの気持ちの悪さがクセになって、まことくんが愛しくなっていくのです。みことちゃんも、徐々に、虐げられることに悦びを覚えつつあります(そのたびに、やっぱり想像以上のまことくんの言動でとてつもない不快感を覚えるのですが)。

 

みことちゃんの思い描く「ふつうの恋愛」と、みことちゃんに心底嫌われたいまことくんの理想が同時に実現するのは不可能です。
彼女がまことくんのすべてを受け入れて愛してしまったとき、まことくんはそんな彼女を愛することができるのでしょうか――。

 

キュンキュン、ゾワゾワしながら繰り返し読み続けて続刊を心待ちにしています。

「COMICリュエル」はWEBで気軽に閲覧できるので、とにかく1話から読んでみてほしいです。
みことちゃんとまことくんの歪んだ関係にキュンキュンして、「ふつう」が歪んでいく様を楽しんでください。

 

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