TOP > マンガ新聞レビュー部 > 私たちはどうやってドラマ「おっさんずラブ」ロスを埋...


この3ヶ月、ハラハラドキドキしながら見ていたドラマ「おっさんずラブ」が終わってしまいました。あの世界がいったん完結してしまったあと、私たちはどうすればいいのか。そこで思い出したのが2次元ーそう、私たちにはまだマンガ・小説がある。ということで、おっさんずラブにはまった人の、ドラマ終了後のロス・空虚感を埋める作品を探してみました。

 

広い間口のドラマ

おっさんずラブは4月からテレビ朝日で放送開始。物語は非常にシンプル。
東京に本社がある天空不動産のある支店を舞台に、33歳男性、春田創一を巡る恋愛模様ーただ、彼に恋する人のなかに男性がいたということ。一人は上司の黒澤武蔵部長、もう一人は後輩の牧凌太です。さらに同じ支店には牧の元彼がいて、春田にはいい感じの女性の幼なじみがいる。
春田がいったい誰と幸せになるのか先が見えず、最終回までやきもきさせられました。

 

深夜帯の放送ということで視聴率こそふるわなかったものの、ツイッターなどの書き込みをベースにした「視聴熱」は高かったようです。テレビ朝日の角南源五社長は定例の記者会見で、SNS、見逃し配信、視聴者窓口に「予想を超える大きな反響がある」と話していました。

 

ツイッター上の書き込みはもちろん、某イラスト投稿プラットフォームでは、長く作品ランキングの上位にいた、2作品の二次創作を抜き去り、一時おっさんずラブをテーマにした作品が1位となることも。その後も上位に食い込んでいます。

 

そのほかいろいろなインターネット上の書き込みをみると、BL好きはもちろん、もともと男性同士の恋愛には興味のなかった人も楽しんでいる様子がうかがえました。

 

ちなみに、人生の大半で「ボーイズラブ(BL)」を楽しんできた私の第一印象は、「まさか2次元で楽しんでいたBLが、公共の電波で流れるなんて」という喜びと驚愕。

 

男性中心の職場、仕事のできるかっこいい男性、外見がよくて家事も完璧なのにどこか幸せから逃げている感じのある人、ちょっと鈍感だけどお人好しで人からも好かれる――みた瞬間「ああ、BL作品でこういうキャラクターいたな」と思ってしまいました。

 

よくよくみると、男女入り交じる職場を舞台に、異性愛者も同性愛者も登場。かっこいい自立した女性は恋の相手にも、対等な相談相手にもなりうる――もちろん同性愛を身近に見たことがない登場人物は驚くけれども、一度存在すると知ってしまえば、否定はされないという世界。溝口彰子さんが『BL進化論』で描かれた、”進化したBL”を感じさせました。

「関係性萌え」を描いてきた「BL」たち

とはいえ、地上波で流れたドラマなので、多くの人の目に触れ、受け止め方は人それぞれです。登場する誰かに感情移入したり、誰かに幸せになってほしいと思ったり。そのなかの受け止め方のひとつが「関係性萌え」――これは、マンガを通じて仲良くさせてもらっている人と、おっさんずラブについてやりとりしている間に気が付かされました。

 

ある程度年齢を重ね、いろいろな人と関わりを持つと、ドラマや映画といったコンテンツの登場人物に感情移入をするのが徐々に難しくなる。特に恋愛ドラマでは顕著で、「そこは違う」「そんな考え方はしない」とつっこみたくなるのです。

 

もはやドラマに登場する誰か一人を「自分だ」と受け止めたり「こうなりたい」と思うわけではない。誰かと誰かのやりとりや関係そのものに心が動かされたりキュンキュンしたりするーー関係性萌えとは、こうした心の動きです。


さらに一部の女性にとっては、関係を作りだしている対象が男性であればより萌えやすい。なぜなら性別が違うことで完全に自分と切り離し、客観視することができるから。

   

おっさんずラブで、生身の役者の体で表現されたこの「関係性萌え」をひたすらに描いてきたのが、BLです。

  

例えば以前マンガ新聞でも紹介した、中村明日美子さんの「同級生シリーズ」。佐条と草壁という2人の高校生の青春を描いた作品で、2人の間を邪魔するライバルの存在、「自分とは釣り合わないのでは」と思ってしまう瞬間など、おっさんずラブに通じるものがあります。

   

同級生 (EDGE COMIX)
著者:中村 明日美子
出版社:茜新社
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ベッドシーンが大丈夫なら、ヨネダコウさんの『どうしても触れたくない』。 嶋の恋愛に対する臆病さなど「絶対に幸せになってほしい」と思いました。

 

どうしても触れたくない (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 26)
著者:ヨネダ コウ
出版社:大洋図書
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「関係性萌えはいいけど、男性同士のLOVEまでは・・・」という人には「疑似恋愛と見えてしまうほどの、男性同士の強いつながり」を描いた作品はどうでしょうか。

 

アニメ放送が予定されている『BANANA FISH』のアッシュと英二。新シリーズの連載が始まった樹なつみさんの『八雲立つ』の闇己とナ七地。長編ものなら、杉浦志保さんの『SILVER DIAMOND』に出てくる羅貫と千艸の関係もすてきです。

  

SILVER DIAMOND(1) (冬水社・いち*ラキコミックス)
著者:杉浦 志保
出版社:冬水社
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最終回の放送後、公式からパッケージソフトとオフィシャルブックの発売が発表されました。それが手元にくるまでは、しばらくBL作品をめぐり、関係性萌えを探そうと思います。

 

  

※なお、耽美小説からJUNE、やおい、ゲイカルチャー、BLと同性愛、特に男性同士の恋愛を扱うコンテンツにはいろいろ議論があることは承知しております。そこはまたしっかり考えていきたいと思います。

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