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西荻窪ランスルー 1巻
著者:ゆき林檎
出版社:ノース・スターズ・ピクチャーズ
販売日:2016-06-20
  • Amazon

 

(C)ゆき林檎/NSP 2015

なんとも不穏な始まりだが、きっとこれが現実なのだろう。

 

主人公の江田島咲は18歳。進学校で大学入試にも受かっていたが「学歴じゃなくて技術を身につけて、周りに振り回されず自分の力で立っていきたい」という思いから、周囲の反対を押し切りアニメ会社に就職。しかし、そこで出会う大人たちに圧倒される日々を送る。

 

まず、就職先の人々があんまり歓待感がないのがすごい。一般企業の人事が見たら卒倒するほど愛想がない。

面接からしてこの塩対応。
(C)ゆき林檎/NSP 2015
内定のお礼をするも塩対応。まぁ、これには理由があるのだけれど…
(C)ゆき林檎/NSP 2015

「楽な仕事なんてこの世にはなくて、どの職業もその職ならではの大変さがあるのだろうなぁ〜」というのが社会人になる前の心証だったのだけれど、それでもアニメーターさんの大変さというのは凄まじい。googleで「アニメーター 過酷」と検索すると、読むだけで悲鳴をあげたい実例がわんさか出てくるし、本作でも新入社員が0時過ぎまで余裕で作業を行っている。リテイクもガンガンに入れられる。

(C)ゆき林檎/NSP 2015

ただ、新人のとき本当につらいのは、拘束時間の長さより、一人前の仕事がちっともできないという、圧倒的な無力感だ。

ああ、新卒のころを思い出す…
(C)ゆき林檎/NSP 2015

当時は私も「こんなに迷惑ばっかりかけてて、仕事が出来るようになる日なんてくるんだろうか…」と暗鬱な表情ばかり浮かべていたように思う。しかし新人はそんなこと気にしなくていいのだ。

 

仕事を振られたものの、予想通り足をひっぱって修正につぐ修正をされた新人アニメーター達が監督に質問する。

 

「なんで私達にやってほしいって言ったんですか」
「監督はクオリティを重視する方だと思います」
「私達 足ひっぱりました」

 

この回答がいい。

(C)ゆき林檎/NSP 2015
マインドもスキルもある、ケツをもってサポートしてくれる先輩がいる業界は素晴らしい
(C)ゆき林檎/NSP 2015

今年で社会人になって7年たったが、今も「仕事がガンガン出来て無敵だぜー!」となった訳ではもちろんなく、どうにか自分でできる領域を把握したのと、どうしても足りない部分は出来る人に頼ってチームとして最終的に結果が出ればいいのだ、ということを覚えたにすぎない。諸先輩から見ればまだまだの部分も沢山あるだろう(いつもすんませんありがとうございます)。

 

それでも、惰性で仕事をしてしまったり、守りに入ってしまったり、他人の仕事に憤りを感じてしまったりする底の浅い自分を、この作品がたしなめてくれたような気がするのだ。それから、なんとなく、仕事ができなくて情けないと悩んで泣いてた後輩ちゃん(当時の私より全然仕事ちゃんとしてる)を思い出しながらこのレビューを書いた。今の子は本当みんなちゃんとしてるよ…。

 

新人の咲だけでなく、指導役の先輩も、監督も、みんな何かを悩みながら仕事に向かっている。しかし「いいものを作ろう」という熱い思いが常にある。それが、とても気持ちいい。

 

初心に帰りつつ、後輩への接し方を考える作品。

 

オススメです。

 

※でもアニメーターさんの待遇改善は本当にどうにかできないかな…私は円盤を買うぐらいしかできない…

 

▼同作者・ゆき林檎先生のBL作品『玉響』▼

玉響 (HertZ&CRAFT)
著者:ゆき林檎
出版社:大洋図書
販売日:2017-12-01
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▼同じくアニメーターを題材とした漫画『アニメタ!』▼ 

アニメタ!(1) (モーニングコミックス)
著者:花村ヤソ
出版社:講談社
販売日:2015-12-22
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