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この記事を書いている2月3日は、『HUNTER×HUNTER』35巻の発売日であった。

 

友人の結婚式の二次会の帰りに購入し、電車の中で読もうかと本を広げたのだが……。酒が入ってポンコツになった頭では、全然理解できず、ちっともページが進まない。そして、いつの間にか眠りに落ちていた。

 

せっかくの発売日なので、『HUNTER×HUNTER』で数字を取りに行こうかと思ったのだが、計画は失敗してしまった。

 

この作品とは長い付き合いになるが、よくよく考えると難しい作品だと言える。念能力について深く理解していないと、何がどうなっているのかわからなくなることも多いし、最近は多数の勢力の思惑が入り乱れているため、ノートにメモでも取らないと、目の前にいる人物が何者かわからなくなる。

 

実際に35巻を開いてみて、最初の方に出てくるビルとサイールドが誰だかまったく覚えていなかった。

 

なので、新刊が出るたびに4,5巻前から読み直すことになる。これは、別にネガティブなことではなくて、1~2年に一度の大きな楽しみである(同様の楽しみは、『ベルセルク』と『ヒストリエ』でも味わっている)。
さてさて、京王線の中で睡魔に襲われながら思ったのである。

 

「疲れているときはもう少しゆるい作品が読みたいなぁ」

 

というわけで、待望の『HUNTER×HUNTER』は翌日にじっくりと正座して読み直すこととしよう(どうでもいいけど35巻の序盤で1番面白かったのは28ページ)。

さて今日は、当初の予定通り、ゆるーい頭で楽しめる癒やし漫画をご紹介することにする。

 

それが『転生したらスライムだった件』である。

 

主人公は37歳、大手ゼネコンに勤務する独身サラリーマンである。仕事は出来るが、女性には縁がなく、独身で「童貞」であった。

 

その主人公が通り魔に刺されて死亡するところから物語が始まる。刺されて死ぬところで物語が終わる、と書きたくなる文脈ではあるが。

 

主人公は、異世界へと転成し、スライムになる。異世界とは何か、どうして転生というシステムが存在するのか。そういったややこしいことは考えなくていい。とにかく、スライムに転生したのである。

 

もしかしたら、原作のライトノベルや、裏設定を読むと色々わかるのかもしれないが、『ロードオブザリング』ではないのだから、ざっくりでいいのだ。

 

とにかく、転生してスライムになった。

 

スライムと言えば、ドラクエで最弱のモンスターとして登場して以来、そのイメージが定着している。今作でも本来的には最弱のモンスターであった。

 

しかし、主人公が死亡するときにぼんやりと内省した言葉が、「願い」として聞き届けられたのである。

 


<すまんな 息子(下半身)よ 次生まれ変わったら ガンガン攻めて 喰いまくってやるからな>

 

<――確認しました。ユニークスキル「捕食者」を獲得…成功しました。>

 

このような課程で、「捕食者」と「大賢者」というスキルを得る。

 

そして……、冒頭で出会う天災級(カタストロフ)と呼ばれるモンスター暴風竜ヴェルドラと出会い、その力を借りることで……。

 

この作品に偶然出会って以来、何度も読み直している。面白い、とても面白い。原作のライトノベルを読んで続きを知りたい気持ちもあるが、今は漫画を待つ方向で何とか耐えている。

 

何でこんなに面白さを感じるのだろうと考えてみたことがある。というのも、主人公には明瞭な目的がない。世界を救うために魔王と戦うこともないし、自分の欲望を満たそうともしない。

 

「少年漫画的な盛り上がり」は皆無なのだ。

 

主人公は、淡々と力をつけ、少しずつ周りの世界を理解していく。そして、郷には入れば郷に従い、世界へと順応していく。

 

その課程で、段々と仲間が増え、仲間と共に生活する街が出来てくる。

 

それだけといえばそれだけの話なのである。それなのに、どうしてこれほど面白さを感じるのか。


一つには、「人生をやりなおしたい願望」を満たしてくれたからだろう。生まれ変わってみたい。人生をやり直してみたい。そう思ったことは今まで何度もあった。

 

しかし、13歳に生まれ変わったところで、くそだるい授業を受けなければいけない。可愛かったあの子も、普通の女の子にしか思えないかもしれない。結局、同じような人生を歩むことになるような気がしてちょっとうんざりする。

 

では、別の時代に生まれたらどうか。歴史を調べれば調べるほど、現代以上に快適かつ清潔な時代はないことに気づく。

 

しかしながら、異世界に転生し、強い力を持ちながらも何の使命もなく、自由に生活できるということであれば話は別だ。

 

『転生したらスライムだった件』では、スライムとなった主人公が実に楽しそうに生活しているのである。その楽しさに惹かれて、とんでもない人まで飛んできてしまうのだが、それは是非漫画で確かめて欲しい。

 

面白さを感じるもう一つの理由は、スライムが行う「仕事」が楽しそうだからであろう。

 

37歳のサラリーマンとなれば、組織の中で、上にせっつかれ、下から突き上げられ、同年代とは競争させられるはずだ。
 

スライムとなった主人公は、次第に「王」のような地位を得ていく。
 

つまり、社長になるのだ。主人公は、なかなか有能な人間で、上下水道の敷設したり、司法、立法などの担当官を設けたり、他の都市との同盟を締結したりする。



わずらわしい人間関係もなく、自由に、楽しく、仕事をしているのである。

 

本来的に、仕事とは面白いものなのであろう。仕事が嫌なのではなく一緒に仕事する人間との関係性がめんどくさいのだ。

 

しかし、モンスター達は、「強い者に従う」という単純な行動規範に基づいているので、関係性がややこしくなることがないのだ。

わずらわしいこともなく、自分の思うままに楽しく仕事をしている。なんだかいいなぁと思いながら、何度も読み返してしまうのだ。
 

異世界でシムシティなどの町作りゲームをプレーしているような「大人のファンタジー」作品を是非ご覧あれ!!


P.S
ぼくもスライムになって、エルフや鬼人のおねーさんの膝の上でナデナデされたい。



 

転生したらスライムだった件(1) (シリウスコミックス)
著者:伏瀬
出版社:講談社
販売日:2015-11-20
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