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「私は何がしたいのか」と思い悩むあなたへ 「死」はあなたにとって最高の「師」であることを教えてくれる『不滅のあなたへ』

「すごい作品が出てきた・・・」

と、読み終わったときに素直に感じました。

 

漫画を読んでいるようで、どこかの有名な文学作品に触れているのではと錯覚させるくらいの、想像力をかき立てさせられるセリフと場面展開。そして、「生と死」をテーマに進むストーリー。第1巻を読み終えたときに、なぜかとても目頭が熱くなりました。

 

今回は『聲の形』の作者・大今良時先生が描くファンタジー作品『不滅のあなたへ』をご紹介します。

 

不滅のあなたへ(1) (週刊少年マガジンコミックス)
著者:大今良時
出版社:講談社
販売日:2017-01-17
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何者かによって“球”がこの地上に投げ入れられた。その球体は、情報を収集するために機能し、姿をあらゆるものに変化させられる。死さえも超越するその謎の存在はある日、少年と出会い、そして別れる。光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ……刺激に満ちたこの世界を彷徨う永遠の旅が始まった。これは自分を獲得していく物語。

死をポジティブにとらえる 

この作品を読んだとき、ぼくはある絵本を思い出しました。『100万回生きたねこ』です。

 

ぼくはこの作品を、実は5年前まで読んだことがありませんでした。とても有名な本であることは知っていたのですが、ぼくが通っていた幼稚園にはこの絵本がなく、また、当時は『ゲゲゲの鬼太郎』の妖怪図鑑に夢中になっていたぼくにとって、妖怪の本>絵本だったので、全く目に留まりませんでした。

そんなぼくが大学に入って、「大人と絵本」について調べていた先輩の卒業論文の手伝いとして、絵本を読んでアンケートに答えることになりました。そのときに読んだのが『100万回生きたねこ』でした。

 

 

「やっと終われたね、良かったね・・・」

 

 

絵本を読み終わったときに素直にそう感じました。

100万回生きるなんて、現実では出来ないことだけれど、仮にもし出来たとするのなら、それは本当に幸せなことなのだろうかと考えてしまう。だって、なかなか「終わらない」し、なかなか「終えられない」のである。

勉強でも仕事でも、「終えられない」ということは、けっこうしんどい。ましてやそれが「人生」になったら、しんどいレベルの話じゃないと思うのです。

 

だから、いろんな経験をしたねこが、愛を知って、最後の瞬間をむかえることが出来たときは、とても安心したのです。

やっと終わったんだね、もう自由だし、寂しくないねって。そう思ったときに、「終わることも、悪いことではないな・・・」と、「死」をポジティブにとらえることが出来ました。


『不滅のあなたへ』を読んでいると、「死」が「成長」のために必要なものだと感じます。死んで蘇る、を繰り返すうちに姿形を変え、知性を身に着け、学習していく。その過程を漫画の中では描いています。

 

この過程だけを見ると、普段人間が行っている「寝る」という行為と、「死」はよく似ていると思いませんか。「寝る」という行為によって、体の中の細胞は「死」と「再生」を繰り返すのですから。そう考えると、「死」は、別に特異なことでもなんでもないですよね。生きている限りいつも体験していることだし、とても身近なものだと感じます。

 

だから、「死ぬ」ということを、必要以上に怖がらなくてもいいのではないでしょうか。

 

怖がって遠ざけて、「死」について向き合わなくなってしまうと、「生きる」ということについてさえも向き合わないで過ごすことにつながってしまうような気がします。

それは、生きる意味を考えないで過ごすことになり、結果、自分が何故生きたいのか、何をしたいと思っているのかを考えないで過ごすことになってしまうでしょう。

 

「死」は生き物にとって、成長を促す意味でとても大切なものであるとこの漫画は教えてくれます。

 

現実でもドラマでも「死」は転機として描かれることが多いですよね。死が人の意識を、肉体を変えていく。あなたにとっても、きっと死は変化を与えてくれるものに違いないと思います。

「死」についてポジティブに考えることができるようになる。そんな力を、この漫画を読んで手に入れませんか。明日以降の人生が、今より少しだけ豊かになるかもしれませんよ。

 

 

不滅のあなたへ(1) (週刊少年マガジンコミックス)
著者:大今良時
出版社:講談社
販売日:2017-01-17
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100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)
製造者:講談社
販売日:2014-11-28
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