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『めだかボックス』の球磨川先輩プレゼンツ、自分の心を甘やかす名言集

自分の心を一番大事にするのは、意外と難しいものです。ひとりでいるときはともかく、他人と関わっていたり一緒にいる時に、全く気を遣わずにいることはできません。気を遣うことを「心配り」とは、良く言ったものです。

他人のために心を配るのは素晴らしいことですが、いつも配ってばかりでは、自分の分が足りなくなってしまいます。

アンパンマンが気軽に自分の顔をちぎって他人に渡せるのは、あとでジャムおじさんが新しい顔を焼いて交換してくれるからです。でも、人間の心はそういうわけにはいきません。

よって我々は、自分の心を大事にする方法をもっておく必要があります。その道しるべとして、『めだかボックス』に登場する球磨川さんの言葉が良い感じだったのでご紹介します。

 

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「ぬるい友情・無駄な努力・むなしい勝利」の球磨川さん

球磨川さんは、『めだかボックス』の主人公、黒神めだかの敵役として登場します。作中で「過負荷」と称される、漫画の主人公サイドの逆をいく精神構造をもった集団の首領です。

『めだかボックス』は週刊少年ジャンプで連載していた作品ですが、球磨川たちのモットーは、「ぬるい友情・無駄な努力・むなしい勝利」。

そんな球磨川さんの発言は、マンガの主人公なら口がさけても言わないダウナーなセリフのオンパレード。我々が口にするのもはばかられますが、弱った心を甘やかすにはちょうどいいテンションです。以降、見出しが球磨川さんのセリフです。

『僕は悪くない』『だって』『僕は悪くないんだから』

何か嫌なことがあったときに心の中でつぶやきたいセリフです。本当は少しは悪いのかもしれませんが、まずこのセリフを浮かべることで、心の中の責任ゲージのスタート地点をゼロにしましょう。

心に黒いものが生まれそうになったら理屈抜きの責任回避宣言から始めるのです。責任のありかなんて、暇にしてる他の人が考えればいいんですよ。

『まったく』『なんのためだなんて』『みんな大人のくせに』『的外れだよねえ』『人間は無意味に生まれて』『無関係に生きて』『無価値に死ぬに決まってるのにさ』

仕事に通って、土日は寝て過ごして、年齢だけ重ねていく毎日…ふとした瞬間に、自分の人生の意味とか考えると、重い気持ちになっちゃいますよね。

でも大丈夫です。球磨川先生によれば人生に意味なんてありません。ゼロです。気が向いた時に、都合のいいように付与すればいいんじゃないでしょうか。

『思い通りにならなくても』『負けても』『勝てなくても』『馬鹿でも』『踏まれても蹴られても』『悲しくても苦しくても貧しくても』『痛くても辛くても弱くても』『正しくなくても卑しくても!』 それでもへらへら笑うのが過負荷だ!!

笑う門には福来るという言葉があるように、人間の脳には笑顔をつくるだけで自分が幸せだと思い込むというハッピーな機能があるようです。

「へらへら笑ってるんじゃない」なんて真面目腐った人は言ってくるかもしれませんが、そういう人はご機嫌になるのがヘタクソなだけなので無視です、無視。

そういえば、Facebook社COOのシェリル・サンドバーグさんが夫を亡くしたあとにどう立ち直ったかを描いた名著『OPTION B』に書いてあったのですが、苦難から立ち直るのを妨げるのは下記の「3つのP」だそうです。

・Personalization(自責化・自分のせいだと思うこと)
・Pervasiveness(普遍化・人生のあらゆる場面に関わってくると思うこと)
・Permanence(永続化・ずっと続くと思うこと)

球磨川さんのセリフは特に、「自責化」を回避する思考を我々にインストールしてくれますと思います。本来何が起こっても、その責任が100%個人のせいなことって、ありませんしね。

球磨川さんは自体は自責化を避けすぎかもしれませんが、責任感をもつあまりに責任を引き受け過ぎちゃってる人は『めだかボックス』を紐解いて(球磨川さんの登場は7巻からです)、彼の数々の名言で自分を甘やかしてみてはいかがでしょうか。

 

めだかボックス 7 (ジャンプコミックス)
著者:西尾 維新
出版社:集英社
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文:ミヤザキユウ