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火事と喧嘩は江戸の華。粋で雑多な江戸を描いた大友克洋の秀逸短編『火之要鎮』を読むことができるのはこの本

大友克洋というと『AKIRA』『童夢』というイメージが多いかと思われる。

世代によるかもしれないが、大友克洋というと短編作品を想起する人たちがいる。

自分もその一人だ。

 

大友作品の短編には少ないページ数にぎゅぎゅっと魅力がつまっていて、アイディアの凝縮体のような贅沢さがある。

映画でも短編作品である『工事中止命令』『大砲の街』『火要鎮』など、アイディア凝縮密度が濃い。

 

この『火要鎮』という作品は、2013年に発表されたオムニバスアニメ映画『SHORT PEACE』のうちの1作品。

時は江戸時代。報われぬ男女の恋から大火事が発生するストーリー。どうしてもあきらめきれない恋心が業火となってすべてを焼き尽くす。

絵巻のようなアニメ表現や迫力のある江戸の大火事のシーンに圧倒される美しい映像美だった。

 

それとほぼ近いタイトル名の短編漫画が1995年にCOMIC CUEで発表されていた。

タイトルは『火之要鎮』。

たった9ページの作品だが、江戸時代の人々が噂話をしている空気感やちゃきちゃきの火消しの格好良さ、人の業が炎となって燃えさかる様といい、なんとも贅沢な短編なのだ。

 

「その火事己(おれ)が行くまで消すんぢゃねへぞ」のセリフがなんともいえぬ余韻を残す。

実はこの作品、しれっと『SOS大東京探検隊』という短編集のトリに入っている。

 

SOS大東京探検隊 (KCデラックス ヤングマガジン)
著者:大友 克洋
出版社:講談社
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西部劇の短編など面白い作品がぎゅぎゅっとつまっている単行本なので、あわせておすすめしたい。