TOP > マンガ新聞レビュー部 > 「最初に」愛は勝つ!『金剛寺さんは面倒臭い』【「こ...

「最初に」愛は勝つ!『金剛寺さんは面倒臭い』【「このマンガがすごい!2019」オトコ編第2位】

本作の作者、とよ田みのるさんは、デビュー作の『ラブロマ』からずっと、人と人とのまっすぐな心のつながりを描く作家さんでした。
いつも漫画から前向きなメッセージが感じられ、とにかく読後感がすばらしい!

 

そんなとよ田先生の最新作のタイトルは、過去作のファンの期待を応えながらさらにその上をいく、とてつもない「大大大恋愛」漫画でした!

 

※2019年1月24日22:00までの期間、限定無料お試し版が読めます!

 

ヒロインはタイトルにも書かれている「金剛寺」さん。
これもタイトルに書かれている通り、彼女はとてつもない理屈屋、つまり「面倒臭い」性格です。

 

例えば、捨て猫にオヤツをあげようとする主人公、樺山君を後ろから「無責任だなっ!!!」と一喝した彼女は、次のように論理を展開します。

 

仮に君が猫ちゃんにオヤツを与えたとしよう。

そうすれば一時の飢えはしのげるかもしれない。

しかし猫ちゃんは 次も期待してしまうのではないか?

いや する!!!!

その一口で自ら動き 糧を得るという 生きる本能をスポイルしまいか?

するのだ!!

そんな猫ちゃんの 今後の生活全ての責任を負えるのか?

負える訳が無い!!!!

ならばそのオヤツを 猫ちゃんにあげるのを止めたまえッ!!!

 

見ず知らずの女子にこんなこと言われたら、間違いなく引きますよね?
でも樺山君は、この後わずか9ページ後に彼女に告白します。

 

やさしさの塊のような性格の樺山君にとって、
自分の感情より『正しさ』を優先して行動する金剛寺さんが眩しく見えたから。

 

そして彼らの恋はわずか1話にして成就します。
表紙の絵はなんと1話のクライマックスシーン!
超スピード展開です!

 

え、それじゃ、恋愛漫画として目的を達成してしまったんじゃ???
大丈夫です!ここからが本当のドラマの始まり。

だって彼女は本当に「面倒臭い」んですから!!!

 

超劇的に描かれる恋愛の過程

お互いの「好き」を告白し合った2人。
普通ならば、ここから恋人としてのお付き合いを重ねてお互いの愛を深め合う事になりますが、金剛寺さん曰く「普通とは何だ!?」という話になるわけです。

 

彼らは、普通の人が当たり前に通過する恋愛の過程を解体して、自分自身で「発見」することで先に進んでいきます。
だから第2話で彼らが「手をつなぐ」時もこんな感じ。

 

では始めるぞ!!!
はいっ!! ドキドキします!!
手をつなぐぞ!!!
つなぎましょう!!!!
うおおおおおおおっ!!!!

 

まるで少年漫画のような、激しい掛け声とともに彼らが手をつなぐ瞬間、周囲の人々(動物)にも奇跡が起こります。

 

恋をする二人にとって、世界の全ては二人を中心に回っているのです。

 

人と人とが出会い、好きになる事。

そして心が通じ合い愛が深まることは奇跡であり、そんな奇跡に比べれば周囲で起こる奇跡は「些細な事」に過ぎません。

 

本作のテーマはとてもシンプルですが、それをここまで劇的に表現した漫画は他にないかもしれません。

 

 

金剛寺さんは面倒臭い(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:とよ田みのる
出版社:小学館
販売日:2018-03-16
金剛寺さんは面倒臭い(2) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:とよ田みのる
出版社:小学館
販売日:2018-08-17
金剛寺さんは面倒臭い(3) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:とよ田みのる
出版社:小学館
販売日:2019-01-11

現在コミックス3巻まで刊行中。

 

 

ちなみに、本作では恋する二人のドラマに並行して様々な事柄が描かれます。

 

  • 過去、都内某所に空いた巨大な穴から14500㎞の地下に「地獄」が見つかる。
  • 今では「地獄」の鬼と人類が共存している。
  • 樺山君は鬼である(さらっと)。
  • 一部の鬼には古来から天候を操る力がある。

 

これだけで別の話を作れそうな設定ですが、

だがこれはッ 本編とは大きく関わりの無い 物語であるッ!!!!

の一言で片づけられます。

 

金剛寺さんが鬼にさらわれて地獄まで行ったりもするんですが「本編とは大きく関わりの無い」物語なので、この辺で留めておきます。

 

愛は全てのものに勝る!
この二人の勝利は、1話の時点で確定しているのです。

 

約束されたハッピーエンドに向かう大恋愛劇を、ぜひ読んでみて下さい!